2014 Fiscal Year Research-status Report
教員を目指す大学生の学習支援を目的としたメタ認知能力の育成
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24530806
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
懸田 孝一 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (70281764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅村 亮彦 北海学園大学, 経営学部, 教授 (70301968)
吉野 巌 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60312328)
宮崎 拓弥 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (00372277)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メタ認知 / メタ認知尺度 / 批判的思考 / 教員養成 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、「教員に求められる資質の向上を目指した学習活動に対してメタ認知が与える効果の検証」のために、主に次の2つの研究を行った。 研究1:メタ認知的な意識づけを重視した授業の効果:「ゼミナール活動を通してメタ認知的活動としての批判的思考は促進されるか」を検討した研究(平成25年度)から、メタ認知的知識をもつことによって、より批判的な思考が可能になることが示唆された。 そこで、平成26年度は、メタ認知について直接教授することでメタ認知への意識づけを明確にした上で、演習後にモニタリングと精緻化に関する振り返りを行わせた。これらがメタ認知、批判的思考に及ぼす影響と相互の関連について検討した。加えて特に教員養成大学生に求められる資質能力等にも着目し、それらとメタ認知との関連も検討した。現在、データを分析中であり、その成果を平成27年度の日本教育心理学会で発表する予定である。 研究2:説明文章作成課題におけるメタ認知の働き:前年度までの研究で説明文章作成課題遂行には、説明する内容に関する知識の有無によってメタ認知が関与することを示してきたが、課題成績とメタ認知の個人差の明確な対応関係は見出せなかった。この原因として、説明する内容の既有知識の程度、内容の日常性による情報処理の自動化、注意の限定的な働きがメタ認知の働きに強く影響することが考えられた。そこで、平成26年度は基本的な心理現象を説明する課題を設定し、必要な情報が正確に書かれているか、読み手を想定した工夫がなされているかを指標としてメタ認知の関与の程度を検討した。また、自己評価式質問紙に影響が予想される尺度(楽観主義尺度)との関連も併せて検討した。なお、実験は実施済みであるが、現在、データを分析中であり、平成27年度の学会発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究課題である「教員に求められる資質の向上を目指した学習活動に対してメタ認知が与える効果の検証」は、主に研究1で検討した。この研究課題について前倒しで行った平成25年度の研究1で使用した課題では、メタ認知的活動の一つとしての批判的思考力を促進させる効果を認めることとはならなかったが、その研究結果から明らかとなった問題点を修正した課題を平成26年度の研究1では使用しており、現在、分析中である。なお、研究2は平成25年度の研究課題「メタ認知支援に利用する効果的な課題の特定」の継続として位置づけられる。 以上の成果を考慮すると、今年度の研究課題である「教員に求められる資質の向上を目指した学習活動に対してメタ認知が与える効果の検証」は、課題の方向性は確認できたと考えるが、さらに検討の余地が残されている。したがって、(3)やや遅れていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究課題は平成26年度から継続して「教員に求められる資質の向上を目指した学習活動に対してメタ認知が与える効果の検証」である。この研究課題について、まず平成26年度に実施した研究の分析を行い、その成果や問題点を検討しながら必要に応じて修正を加えて実施する予定である。具体的には、教員に求められる資質と関連する学習活動に対してメタ認知が与える効果を検証する。メタ認知を育成するため、メタ認知的活動の頻度を高める課題を遂行させ、それが実際の授業での学習活動に活用できるよう促した上で、課題遂行及び指導の実施前に比べて実施後に、教員を目指す大学生に求められる資質能力の学習効果が高まるかどうかを検証する実験を行なう。 以上、研究実施計画の小さな変更は一部あるものの、平成27年度以降も概ね、当初設定した研究目的および研究実施計画にしたがって研究を推進する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額として、769,304円があるが、これは、平成26年度の研究遂行において、購入を予定していた物品、データ処理に係る人件費、旅費が当初の予定よりも少額となったことが主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は当初の計画で研究費の使用を考えている。当初の使用計画に加えて、旅費と人件費での増額が考えられる。この理由としては、海外学会での発表を予定していること、平成27年度の実験等で得られたデータはより大量となるため、より大量のデータ処理のための人件費が必要となることが予想されていることがある。
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Research Products
(6 results)