2012 Fiscal Year Research-status Report
英語の授業における意見・考えの表出を求める効果的な指導法の研究開発
Project/Area Number |
24531159
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jin-ai University |
Principal Investigator |
紺渡 弘幸 仁愛大学, 人間学部, 教授 (60340030)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 各教科の教育 / 指導法 / 意見・考え / 学習者言語 |
Research Abstract |
平成24年度の研究においては、「英語の授業における意見・考えの表出を求める効果的な指導法」を開発するための手がかりを得るために、まず「意見・考え」を表現する学習者言語の分析研究を行った。学習者言語の分析に関連する研究を文献調査し、「意見・考え」の表出に使用された学習者言語の特徴を分析する方法・分析項目を決定し、それを用いて日本人学習者と母語話者の作文において「意見・考え」の表出に使用された言語の特徴を明らかにし、「意見・考え」を表出させる上での課題や問題点を探求した。並行してアウトプット、インプットおよびインタラクションに関連する研究を文献調査し、得られた分析研究の結果と先行研究をもとに、「意見・考え」を表出させる効果的な指導法の具体策の1つを考案し、実際の指導の中でその効果を検証した。 また、研究協力者とプロジェクト会議を行い、研究の目的、内容、方法およびスケジュールについて概要を確認し、開発した「意見・考え」を表出させる指導法(1次案)の中学校、高等学校での実施に向けて準備した。 「意見・考えの表現」は「事実情報の伝達」とともにコミュニケーション機能の中核であり、英語の指導も事実情報の伝達のみに終始するような指導ではコミュニケーション能力の重要な側面を向上させることはできない。「意見・考え」を表出させる指導には、言語知識の定着や自動化の促進、豊かなコミュニケーションの生成、学習者の発達段階に見合った適切な内容のある活動の実現、英語学習に対する動機づけの強化といった点が期待される。「意見・考え」を重視した英語の指導において考えられる利点が実際あるのかどうか、困難だと思われる「意見・考え」重視の指導をどのように行えばよいのか、これらは早急に明らかにすべき重要な課題であり、平成24年度の研究はこの課題解決に向けて有用な手がかりを得るとともに今後の研究に必要な準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究は以下に示すように、ほぼ研究計画どおり進めることができ、その目的をほぼ達成した。 (1) 学習者言語の分析に関連する研究を文献調査し、「意見・考え」の表出に使用された学習者言語の分析方法・分析項目を決定した。【意見・考えの表出に使用された言語分析のための方法論的研究】 (2)「意見・考え」を述べた英作文を(1)で決定した分析方法・項目から測定・分析し、日本人学習者(大学生)のライティングにおける「意見・考え」の表出に見られる言語的特徴を明らかにするとともに、表出させる上での課題や問題点を探求した。【英作文の分析による意見・考え表出の特徴と問題点の把握】 (3)「意見・考え」の表出、インプット、インタラクションおよびアウトプットに関連する研究を文献調査し、効果的な指導法を開発するための手がかりを得た。【意見・考えを表出させる効果的指導法開発のための理論的研究】 (4) (2)および(3)の研究を踏まえて、「意見・考え」を表出させる効果的な指導法を開発した。【意見・考えを表出する活動を用いた指導法の開発】
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は以下のように研究を進める予定である。 (1)「意見・考え」を表出させる指導法(第1次案)を中学校・高等学校・大学で実施する。(2)指導法の実施によって生じた教室内コミュニケーションを記録し、分析・考察する。(3)教室内コミュニケーションの研究によって得られた知見に基づき、「意見・考え」を表出させる指導法の問題点を検討し修正を行う。指導を補完する教育的介入についても並行して検討する。(4)研究協力者に、「意見・考え」を表出させる指導法の基本的な修正の方針について説明する。必要に応じ、研究協力者からのフィードバックを得て、具体的な実施方法等に関して協議・検討する。(5)「意見・考え」を表出させる指導法について全国英語教育学会あるいは中部地区英語教育学会で発表し、論文にまとめる。(6)修正した「意見・考え」を表出させる指導法を継続的に実施する。(7)指導法の実施によって生じた教室内コミュニケーションを記録する。(8)記録した教室内コミュニケーションを分析・考察する。(9)「意見・考え」を表出させる指導法を再検討・修正し、第2次案をまとめる。(10)研究協力者に、「意見・考え」を表出させる指導法の第2次案について説明する。必要に応じ研究協力者からのフィードバックを得て、具体的な実施方法等に関して協議・検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほぼ当初の研究費使用計画どおりであるが、教室内コミュニケーションの記録用に一部のICレコーダーの代わりにビデオカメラを購入する。詳細は以下のとおりである。 データ保存用記憶メディア(USB、DVDなど)(2×@15)、統計処理パッケージ SPSS Statistics Base (1×@100) (アカデミック価格版)、統計処理パッケージ SPSS Statistics Advanced (1×@55) (アカデミック価格版)、専門分野文献((10×@5)、教室内コミュニケーション記録用ICレコーダー(15×@10)、教室内コミュニケーション記録用ビデオカメラ(2×@50)、研究打ち合わせ旅費(2×@20)、研究成果の学会発表(全国英語教育学会、中部地区英語教育学会)(2×@50)
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Research Products
(2 results)