2012 Fiscal Year Research-status Report
生体高分子の分子構造解析のための溶液X線散乱クロマトグラフィー法の評価・開発研究
Project/Area Number |
24550111
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
渡邊 康 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品バイオテクノロジー研究領域, 上席研究員 (30353957)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生体高分子 / クロマトグラフィー / 溶液構造物性評価 |
Research Abstract |
本研究では、結晶化およびNMR解析の成功していない生体高分子やその集合体あるいは異種分子との複合体などについて、溶液X線散乱クロマトグラフィー法による分離直後の分子構造解析に焦点をしぼり本手法の特性を明らかにする。 本年度は食品に係る生体高分子の機能や加工特性の制御などの有効利用に役立てるため、結晶化やNMR構造解析が困難な食品関連糖タンパク質の溶液構造物性について検討した。具体的には、溶液X線散乱クロマトグラフィー法により、結晶化およびNMR解析の成功していない軟骨プロテオグリカンの天然条件における分離直後の分子構造を評価した。その結果、排除体積を持ったほどけた構造で、高分子鎖の堅さの指標である持続長は13-16 nmであることを明らかにした。高分子量プロテオグリカンに免疫賦活機能が示唆されているので、本解析はその生理機能解明に重要な意味がある。 また、同法によりムチンの超分子会合体の形状およびタンパク質変性作用のある界面活性剤・ドデシル硫酸ナトリウムSDS共存下での分子構造を評価し、両者の構造は異なることを示唆するデータを得たので解析を進めていて、溶液構造物性評価における本手法の有効性が提示できると考えている。また、本条件でのムチンへのSDSの結合量は単純タンパク質より少なく、ムチンのゲル電気泳動法の適用は慎重に検討する必要があることが示唆される。 さらに、分子量数万のアレルゲン性タンパク質であるウシ血清アルブミンや鶏卵白アルブミンの熱処理条件で混在するモノマーと可溶性高分子量会合体のクロマトグラフィー分離条件における同法による可溶性会合体の分子構造変化を明らかにする実験を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画の内容に概ね則した研究実験を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
ムチンおよび アルブミンの可溶性熱処理会合体の分子構造解析の一部については前年度からの継続研究を行う。また、大腸菌外膜に低分子の通過孔を形成する内在性生体膜タンパク質・OmpFについて、界面活性剤ドデシル硫酸ナトリウムによる可溶化条件下で、分子サイズが約4nmの「天然3量体(分子量11万)」と「変性単量体(分子量3.7万)」が再現性良く維持できることを見いだしているので、この2状態について、溶液X線散乱クロマトグラフィー法により、分子構造の違いから溶出成分が識別可能かを検討する。さらに、本手法において未開拓のイオン交換クロマトグラフィーモードについての評価研究の準備を開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(4 results)