2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24550117
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西村 貴洋 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (50335197)
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Keywords | 不斉合成 / 触媒反応 / ロジウム / イリジウム / イミン / アミノ酸 / 不斉付加 |
Research Abstract |
本研究では,一般的に合成が困難とされている水素以外の4つの異なる置換基を持つ不斉炭素中心を効率的かつ立体選択的に構築する反応系の開発を行った.今年度行った研究の実績を以下に示す. (1)ロジウム触媒による不斉アリール化反応を利用した環状スルファミデートおよび環状スルファミドの不斉合成:ロジウム/キラルジエン触媒存在下,アリール基をもつ五員環環状スルファミデートケチミンとアリールボロン酸エステルを反応させるとアリール基のイミン部位への不斉付加反応が効率よくかつ高いエナンチオ選択性で進行し,対応するジアリール置換環状スルファミデートが得られた.得られた環状スルファミデートは,その不斉中心の立体化学を損なうことなく様々な鎖状のアミン類に変換できた. (2)ロジウム触媒による不斉アリール化反応を利用したアミノ酸誘導体の不斉合成:ロジウム/キラルジエン触媒存在下,エステル基をもつ六員環環状スルファミデートケチミンとアリールボロン酸を反応させるとアリール基のイミン部位への不斉付加反応が高いエナンチオ選択性で進行し,対応するα-ジアリール置換環状スルファミデートが得られた.得られた環状スルファミデートは,アミノ酸誘導体であり,環構造の切断によってアミノ酸へと変換可能であると考えられる. (3)イリジウム触媒によるC-H 活性化を伴う環状ケチミンと1,3-ジエンの環化反応:昨年度,イリジウム触媒を用いた環状N-スルホニルケチミンと1,3-ジエンとの[3 + 2]環化反応を開発し報告した.今回,ヘミアミナール構造を持つ3-アリール-3-ヒドロキシイソインドリノンが反応系中でN-アシルケチミンを生じ,イリジウム触媒存在下,1,3-ジエンとの環化反応を起こすことが明らかになった.キラルジエン配位子を使うとエナンチオ選択的反応が可能となり,スピロアミノインダン誘導体が高い収率および高い立体選択性で得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的通り,複数のアリール基で置換された不斉炭素中心構築法の開発として,ケチミンへの不斉アリール化反応を行い,その結果は学術誌に掲載された(Chem. Commun. 2013, 49, 5504-5506).一方,エステル基をもつ六員環環状スルファミデートケチミンの不斉アリール化反応においても,2つのアリール基で置換されたα-アミノ酸誘導体の合成ができることを明らかにし,現在はその変換反応開発を行っている.また,イリジウム触媒による不斉環化反応においても2つのアリール基で置換された不斉炭素中心を持つスピロアミノインダン誘導体の合成を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針として,エステル基をもつ六員環環状スルファミデートケチミンの不斉アリール化反応をさらに発展させ,得られた光学活性環状スルファミデートをアミノ酸へと変換する反応の開発を行う.スルホニル型のイミン以外にもアシルイミンなどを使い,α-ジアリールアミノ酸誘導体の一般的合成法の確立に向けた反応系の探索を行う.一方,環状アルケニルスルホンの不斉アリール化によってトリアリールメチル第4級不斉炭素中心を触媒的に構築する反応の開発を行う.ロジウム触媒を使った不斉付加反応には既に成功しており,本年度は生成物の変換反応を中心に検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
少額の差額は特段の理由により使用計画から大きく外れて生じたわけではなく、最終年度の次年度に使用予定である。 薬品の購入に充てる。
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