2015 Fiscal Year Annual Research Report
放射性ヨード治療におけるリンパ球のDNA損傷に関する検討
Project/Area Number |
24591794
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
渡邉 直人 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40210926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩淵 邦芳 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10232696)
道合 万里子 金沢医科大学, 医学部, 助教 (40515673)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 甲状腺癌 / 放射線組織障害 / リンパ球 / γ-H2AX |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的:甲状腺癌の放射性ヨード大量の治療における血液や骨髄に対する被曝線量の推定に関する研究が行われてきた。しかしながら、放射線ヨードを用いた放射線内部照射治療に伴う、生体内のリンパ球自体への影響である放射性組織障害を直接評価する検討は現在まで殆ど見られていない。甲状腺癌のヨード治療におけるリンパ球の放射線障害について評価するために、放射性ヨード内部照射治療について、DNA損傷部位に集積することが知られているγ-H2AXを用いて検討した。対象と方法:放射性ヨード3.7GBqの投与治療をうける甲状腺癌術後状態の患者15名を対象とした。リンパ球に、γ-H2AXに対する抗体で免疫染色を行い、DNA損傷部位を核内の点として蛍光顕微鏡を用いて計測した。正常者(7名)のリンパ球を分離してin vitroでX線外部照射する実験で、分離リンパ球にそれぞれ 0.5Gy, 1Gy, 1.5Gy, 2Gy をX線外部照射し、DNA損傷部位を核内の点として計測した。外部照射してできるDNA損傷数と照射量との関係から求めた標準線を作成し、治療によるリンパ球の照射線量を推定した。結果:リンパ球30個あたりのγ-H2AXを用いたDNA損傷の個数は、甲状腺癌のヨード治療前が 0.41 ± 0.51 (mean ± SD)で、治療後が6.19 ± 1.80と有意な増加を示した。外部照射とDNA損傷の個数の関係は、Y=5.7X+1.7, R2=0.96として求められた。甲状腺癌のヨード治療における推定されたリンパ球の照射量は、0.77 ± 0.31 Gyであった。結論:DNA損傷部位に集積することが知られているγ-H2AX用いた評価法は、甲状腺癌に対する放射性ヨード治療における放射線組織障害であるDNA損傷検出には有用であり、治療に伴う照射量評価も可能であると考えられた。
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Research Products
(2 results)