2014 Fiscal Year Research-status Report
母児間免疫寛容に注目した絨毛膜羊膜炎を伴う早産の予防戦略
Project/Area Number |
25460738
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小畠 真奈 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (20420086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 洋実 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60261799)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | HLA-G / 早産 / 母児間免疫寛容 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的母児間免疫寛容に着目した、早産の新しい予防戦略をたてることを目的としている。 (1)早産症例の後方視的検討 筑波大学附属病院で過去7年間に分娩した単胎妊娠で,妊娠22-36週の早産約870例を自然早産群と人工早産群に分類し,胎盤・臍帯・絨毛膜・羊膜の病理組織学的検査(特にCAMおよびVUEの有無)と細菌学的検査,血液検査,既往歴,身体所見を含めた臨床経過について,診療録の後方視的検討を行い、自然早産の臨床的診断基準を作成中である。 (2) 早産予防プロトコル作成に向けた予備的研究 自然早産の予測因子としての母体血清中の可溶性HLA-G値の有用性を検討している。筑波大学附属病院で妊娠管理、分娩予定の同意を得られた妊婦について、妊娠8-12週、妊娠18-21週、妊娠30-32週(以上すべて妊婦健診時のルティーンの血液検査と同時に採血)、および切迫流産、切迫早産、妊娠37週未満の前期破水で入院した場合、入院中(診療上必要な血液検査と同時に採血)に母体血清中可溶性HLA-G値を測定する。測定はBio vendor社のキットを用いたELISA法にて行う。主要評価項目を母体血清可溶性HLA-G値、血液検査所見、尿検査の推移、母体経過:母体年齢、既往妊娠分娩の有無とその経過、母体産科合併症(切迫流産、切迫早産、早産期前期破水、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病などの有無)、分娩週数、分娩様式(帝王切開術施行の有無)、胎盤所見などを検討している。現在までに12人の妊婦の研究への参加の同意を得て、臨床検体を採取している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、母児間免疫寛容に着目した、早産の新しい予防戦略をたてることを目的として、次の3つの達成段階を設定した。(1)筑波大学付属病院における過去の早産症例の診療録を後方視的に検討し、細菌感染を伴わない絨毛膜羊膜炎の臨床像を明らかにする。これにより、早産を発症機序によって分類し、臨床診断基準を作成する。(2)免疫学的な観点からのスクリーニングと介入を組み込んだ早産予防のプロトコルを作成し、その有用性を検証する。(3)羊水中あるいは血清中の可溶性HLA-Gと早産の進行状況の関連を評価し、早産予防の指標となりうるかを検証する。 (1)についてはすでに診療録と胎盤の病理組織学的検討が進行中である。(2)についてはプロトコルを作成し、倫理委員会申請準備中である。(3)についてはすでに臨床検体(妊婦血液)を採取し、一部の検体については可溶性HLA-Gの測定を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
妊婦血清中の可溶性HLA-Gと早産の進行状況との関連については、現在の予備的研究の段階では、有意な関連が認められていない。このため、血清可溶性HLA-Gをスクリーニングに用いる早産予防のプロトコルについては、修正の必要があると考えている。予備的研究の症例数が集積し、妊娠転帰が明らかになった時点で、早急に早産予防のプロトコルを再検討し、実施に向けた準備を行う予定である。
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