2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25461885
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
廣川 直樹 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30404718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇佐見 陽子 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (20572530)
斉藤 正人 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70551109)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 末梢動脈瘤 / 再発防止 / 器質化 / 内皮形成 / 器質化コイル / ベアコイル / 形状保持 / 毛付きコイル |
Research Abstract |
【動物実験】ブタの総頚動脈に5㎜大の人工動脈瘤を合計4個作成:(片側2箇).塞栓コイル種別により以下のように割り付けした.A:ベアコイルのみ,B:器質化促進コイル+毛付きコイルの混合,C:器質化促進コイルのみ,D:器質化促進コイル+毛付きコイルの混合 〈実験結果:(塞栓時)〉4個すべてで完全塞栓が得られた. (VER)A:32.4,B:26.8,C:30.4,D:29.6 〈実験結果:(35日後)〉white color signの有無;A:尾側7割にあり,B:全体的にあり,C:8 割にあり中央部2割なし,D:頭側50%にあり.内皮形成観察;A:ループ出ている部分以外はすべてあり,B:100%あり,C:100%あり,D:100%あり.HE染色による内皮面の厚さ;A:412μm, B:835μm, C:938μm, D:935μm.線維化面積率(瘤内線維化面積/瘤全体面積)A:27.8%, B:11.6%, C:11.7%, D:6.45%.組織学的にAは炎症細胞浸潤が少なくB・D群では毛付きコイルの周囲に多核巨細胞が多かった.Cでは器質化コイル周囲のリンパ球が多かった.〈総括〉white color signの有無と肉眼上の内皮形成に相関はなかった.器質化コイルはベアコイルより内皮形成能が高い事が示唆された.塞栓35日後では瘤内部の線維化はベアコイル群で多く,他群では炎症細胞浸潤が多かった.器質化コイルと毛付きコイルでは炎症細胞浸潤の種類に相違があることが示唆された.塞栓後のコイルの種別による組織学的変化・内皮形成能に関しては,さらに症例数を重ねての検討が必要である. 【臨床介入】2012年9月13日から2014年4月14日現在でエントリー10症例11病変.手技的成功率は91%.手技成功病変では0-18か月の観察期間において全例で形状保持と完全閉塞が確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究目的である不定形で大きな動脈瘤のコイル塞栓術を再発なく成功に導くためには,コイルの長期形状保持性と,瘤内器質化/線維化ならびに内皮形成などの組織学的変化が重要である. 平成25年度は後者の瘤内組織学的変化を重点的に検証した。コイル形状保持性確認には,人体を模倣したモデルと臨床での塞栓結果から検証する必要があるが,血管/循環モデルによるフレーミング保持性試験(コイル塞栓施行後に数日間の持続循環状態にてコイル形状の保持性をカメラで観察する)が未施行である.主なその理由は平成25年度の動物実験の経費が膨らんだためであるが,本研究の骨幹は瘤内組織学的変化を確認する動物実験であるため、追加の動物実験が必要で経費の問題がある場合にはやむを得ず先送りも予想される(動物実験は平成26年度は4月,7月,8月にすでに予定されており,計ブタ5匹で20動脈瘤による組織学的検討を行う). 形状保持性の検証に関しては上記血管/循環モデル以外に,実臨床での塞栓において,塞栓後に症例をFollowすることにより確認している.すでに10病変での検討結果では,コイル塞栓後の形状保持性が全例で良好であることが確認された.これは瘤内の器質化/線維化/内皮形成などの組織学的変化が相まって,形状を保持させている可能性も考えられるため,血管/循環モデルによるコイルそのものの特性評価が重要であることには変わりがないと考えている. 同テーマで共同研究者により他の研究資金の補充が確保が見込まれたため,平成26年度もしくは27年度には施行可能と考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
推進方策は動物実験ならびに実臨床での症例数を重ねることである。現時点では動物実験は順調に進み、その結果も上記のようにある一定の方向性が確認できたため、その検証を重ねることである。 課題としては研究費用に限度があることである。だたし、幸いなことに同様のテーマで組織学的変化に重きを置いた共同研究者の平成26年度科学研究(若手研究)が獲得できたため,重ねての動物実験は可能となったが、さらに研究費の補充を要すると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前述のように血管/循環モデルによる実験が施行されなかったことにより、物品費の計上がなかったことが一つあげられる。また、今年度は3人の旅費を計上していたが、共同研究者の研究発表ならびに聴講の機会が少なかったことにより旅費に残額が発生した。ただし、動物実験費用がかさんだため、結果的にはほぼ全体的な今年度の決算は予算通りと考えている。 今後は動物実験がさらに増えることになりこの経費が嵩むことが予想される。また、実験結果も蓄積されることから、研究発表の機会も増え旅費が膨らむ可能性もある。次年度使用額はその補充に充てたい。
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