2014 Fiscal Year Annual Research Report
種間新世代OMICSに基づく浸潤性膀胱癌新規動物モデルの開発
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25713055
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 恭 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00642406)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膀胱癌 / マウス発癌モデル / lineage tracing / 全エクソームシーケンス |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は(1)ヒト浸潤性膀胱癌臨床検体およびマウス化学発癌モデルの統合的次世代OMICSを用いた遺伝学的解析による種間共通の遺伝学的イベントの同定、(2)Lineage tracing法を用いたマウス膀胱癌発生母地および特異的プロモーターの同定、を試みた。(1)については、一昨年度に経尿道的膀胱腫瘍切除術にて得られたT1、high-grade以上のヒト尿路上皮癌10検体とまたそれぞれのヒト血液とから抽出したDNAでエクソームシークエンス解析を行っている。癌組織と血液とを比較することで癌の原因遺伝子を同定し、その結果と発癌性物質であるBBN投与により作成されたマウス浸潤性膀胱癌から前述と同様の操作で得られた結果とを比較することによって種間共通の遺伝学的イベントの同定を予定している。昨年度はBBN投与によりマウス浸潤性膀胱癌の作成に成功しており、ヒト検体とマウス検体とのシークエンスデータを比較、解析中である。(2)については、Cre-LoxPシステムを用いて尿路上皮マーカーであるUpk2、または尿路上皮深部のマーカーであるCk5の発現細胞でRFPを発現するマウスの樹立に成功しており、蛍光抗体染色を用いて膀胱粘膜の観察を行っている。現在は上記マウスにBBNを内服させ膀胱癌作成、また免疫染色により膀胱癌細胞の起源候補となる細胞を評価し、今後の実験計画に使用検討している遺伝子改変マウスと上記マウスの交配による膀胱癌モデルマウス作成の妥当性を検討することを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトとマウスの膀胱癌組織のエクソームシーケンスデータの比較、解析の段階に入っており、またlineage tracingに用いる組織も順調に確保できている。
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Strategy for Future Research Activity |
文献ではp53が膀胱発癌に深くかかわっていると考えられ、また完全欠損ではなく部分変異がヒトでは多く見られる。p53の部分変異マウスを入手、またそれらに対する膀胱発癌を試みている段階であり、野生型との比較によりp53の影響のさらなる研究をすすめる予定である。
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