2014 Fiscal Year Research-status Report
感染伝達ダイナミクスを重視したインフルエンザ予報システムの開発
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25730181
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
齋藤 正也 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 研究員 (00470047)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 感染症数理モデル / インフルエンザ / ベイズ統計 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本におけるインフルエンザの感染動向を記述するモデルとして、連結SIRモデルを候補モデルとして取り上げる。これは、各地区(都道府県) i に対して、その住人を感受性人口S_i、感染者人口I_i、回復者人口R_iに分けて、それぞれの時間発展を記述するものであるが、確率的に変動する結合定数ε_{ij}を通じて地区間相互作用を取り入れるものである。今年度は、このようなモデルに47都道府県での週毎の定点当感染者数を同化することで連結の強さを決めるパラメータを推定することを通して、その妥当性評価を行った。パラメータ推定のための最適化は、最急降下法とマルコフ鎖モンテカルロ(MCMC)を組み合わせたものとした。相互作用を0とした場合(ε_{ij} = 0)と比較して、予測誤差は連結した場合の方が小さくなるものの、平均的な挙動は大きな違いが見られなかった。観測時系列には、いくつかの県でピークを迎えた後にプラトーが見られるが、連結SIRモデルではこのような挙動が発生しないことが確認された。その結果として、独立したSIRモデルでも連結SIRモデルでも、同程度の(プラトーを外した)再現しかできなかったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
パラメータの最適化が十分でない判断したために、観測時系列に見られる特徴のひとつであるピーク後のプラトーを再現できないモデルを候補としていることに気付かず、研究の進展が遅くなった。
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Strategy for Future Research Activity |
観察されたプラトーを再現するには、都道府県よりも小さい単位の流行を考える必要がある。市区町村レベルの時系列を全国で統一された形式で入手するのは難しいが、特定の都道府県に限定すれば利用できる見込みがある。このような市区町村レベルを参照して、モデル構成を見直したい。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が予定より遅れたために、計画していた海外発表および論文投稿を延期したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に実施できなかった海外での研究結果の発表と学術論文誌への投稿に、前年度からの繰越金を充てる。
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Research Products
(5 results)