2013 Fiscal Year Annual Research Report
対話にもとづいた知識の共同構築と知識構造の動的変化に関する研究
Project/Area Number |
25907028
|
Research Institution | 名古屋市立桜台高等学校 |
Principal Investigator |
水野 正朗 名古屋市立桜台高等学校, 教員
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 知識の社会的構成 / 知識構造 / 言語活動の充実 |
Research Abstract |
【研究目的】 対話にもとづいた知的な学習活動では、他者との関わりを通して知識の構築や再構築が行われると想定される。しかし、このような動的な思考過程を支えるメカニズム(原理)が具体的に解明されているわけではない。そこで、本研究は、①どのような授業方法が、対話にもとづく知識の共同構築を促進するかを検討し、②知識の共同構築の過程において、知識と知識の結びつき(知識の構造化や再構造化)がどのように行われるかを、授業記録にもとづいて具体的に明らかにすることを目的とする。 【研究方法】 教科学習において、対話にもとづいた知的学習がどのような教授-学習過程として実現されているかを調査するとともに、知識や認識がどのように共同構築されるかを授業記録をもとに具体的に分析する。 【研究成果】 1 個人やグループの探究活動によって得られた成果を持ち寄って全体で共有し、各自の考えや意見を結びつけて相互規定関係を明らかにする過程は、発見や認識の深まりにとって重要な働きをする。 2 ある概念(アイデア)は、微妙に相違する他の意見や、かけ離れた突飛な意見などと比較対照されることによって明確な輪郭を持つ。このプロセスが学習者に「気づき」をもたらす。 3 考えを「深める」過程とは、各意見間の相互規定関係に気づく過程であり、既有知識と新しい知識が結びつく過程にほかならない。知識の共同構築においては「共有ワークシート」「図解イラスト」「マッピング」「Tチャート」「板書」などの視覚化ツールの利用が有効である。 4 教師の役割は、課題を明確にするとともに、多様な考えや意見が有機的に結びつくように導いて「学び合い」を支援することである。 5 対話を通して得られた新しい知識や認識は学習者それぞれの認知構造に合致する形で内面化される。対話を通して得られた知識が一方的に伝達された知識よりも容易に転移するのはそのためである。
|
Research Products
(8 results)