2013 Fiscal Year Annual Research Report
法科学的試料に対するキャピラリー電気泳動/質量分析法の感度向上に関する研究
Project/Area Number |
25915006
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Research Institution | 石川県警・科学捜査研究所 |
Principal Investigator |
岩室 嘉晃 石川県警察本部刑事部科学捜査研究所, 研究職員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | キャピラリー電気泳動/質量分析法 / 感度向上 / キャピラリー内径 |
Research Abstract |
本研究では、法科学分野では一般的な分析対象である生体試料などの夾雑物の多い試料を、キャビラリー電気泳動/質量分析(CE/MS)法を用いて分析した場合に、どのような条件で感度向上が可能であるかを検討した。 CEでは、泳動液の電気伝導度に対して注入試料の電気伝導度が高い場合には、試料の拡散が生じ、ピークがブロードになるという問題がある。この場合、泳動液の電気伝導度を増加させることが一つの対策であるが、これはキャピラリー全体を流れる電流を増加させ、発熱の問題を生じさせてしまう。そこで、キャピラリー内径を小さくすることで電流が抑制可能ではないかということに着目し、感度向上が図れるかどうかを検討した。 UV検出CEでは、光路長を確保するために内径50㎛のキャピラリーを用いることが一般的であり、その後開発されたCE/MSにおいても内径50㎛のキャピラリーを用いたメソッドが多く報告されている。検討の結果、内径30㎛のキャピラリーを用いることで、夾雑物の多い試料に対しても、感度低下を抑制して分析可能であることがわかった。また、内径を小さくすることにより、コンディショニングにより時間がかかることや、スプレイヤー部分でのアスピレーション効果低下に伴いシースガスの流量を増加させる必要があることなどの知見も得られた。なお、内径10㎛については、コンディショニングに時間が掛かりすぎるため、実用的とは言えなかった。 本研究は、法科学的試料をCE/MSを用いて分析する場合には、従来よりも内径の小さいキャピラリーを用いることで感度の向上が可能であることがわかった点で、その意義は大きい。
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Research Products
(1 results)