2013 Fiscal Year Annual Research Report
肺移植後のイトラコナゾール血中濃度評価と免疫抑制療法に及ぼす影響の解析
Project/Area Number |
25928023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 裕也 京都大学, 医学部附属病院薬剤部, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 肺移植 / イトラコナゾール / カルシニューリン阻害薬 |
Research Abstract |
【研究目的】 肺移植後の薬剤管理においてはカルシニューリン阻害薬とイトラコナゾールの併用が必須となる。しかし、イトラコナゾールの併用によりカルシニューリン阻害薬の血中濃度が上昇し、腎機能障害等の副作用リスクが高まるため、併用時にはカルシニューリン阻害薬の適切な減量を要する。本検討では、「肺移植後薬剤管理プロトコル」の確立に向け、イトラコナゾールがカルシニューリン阻害薬の血中濃度に及ぼす影響を解析した。 【研究方法】 京都大学医学部附属病院において2008年以降に肺移植を施行した患者のうち、イトラコナゾールおよびカルシニューリン阻害薬の血中濃度を同時に測定した62名(タクロリムス投与患者32名、シクロスポリン投与患者30名)を対象とし、イトラコナゾールの投与量および血中濃度がタクロリムス、シクロスポリンの血中濃度/投与量比に与える影響について解析を行った。 【研究成果】 シクロスポリン血中濃度/投与量比は、イトラコナゾール投与量には相関しないが、イトラコナゾール血中濃度には有意に相関することが示された。一方、タクロリムス血中濃度/投与量比は、イトラコナゾールの併用により有意に上昇するものの、イトラコナゾールの投与量や血中濃度との関連は低いことが示された。従ってイトラコナゾール併用時のカルシニューリン阻害薬の減量基準を検討する上で、シクロスポリン投与患者においては、イトラコナゾールの血中濃度を測定することが有用であると示唆された。また、タクロリムスとイトラコナゾールの相互作用を考える上で、タクロリムス血中濃度はイトラコナゾールの血中濃度に加えて、CYP3A5の遺伝子多型等が影響している可能性が考えられた。
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