2013 Fiscal Year Annual Research Report
呼気ガス測定によるパクリタキセル点滴後のアルコール残存量評価とその改善方法の検討
Project/Area Number |
25929008
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
小田桐 奈央 弘前大学, 医学部附属病院薬剤部, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 呼気ガス測定 / アルコール / パクリタキセル |
Research Abstract |
【はじめに】外来がん化学療法においても頻用されるパクリタキセル(以下PTX)は水に難溶であり、無水エタノールを含む溶解液に溶解されているため、特に患者本人が自動車を運転して帰宅する際、重大な事故につながる恐れや違法となる可能性がある。これまで、PTXなどのアルコール含有製剤点滴後に、呼気中アルコール濃度測定によるアルコール残存の評価は行われている。また、飲酒後の呼気中と血中アルコール濃度の関係も検討されている。しかし、アルコール点滴後の呼気中と血中アルコール濃度の関係は検討されていない。本研究は、今後PTX点滴後の患者のアルコール残存を評価するための基礎データを集積する目的で行った。まず健常人にアルコール点滴後、呼気中及び血中アルコール濃度を測定し、呼気中アルコール濃度測定法によりアルコール残存を適切に評価できるかを検討した。またPTXによる治療の後に予想されるアルコール残存を推察した。 【方法】健常人①3名又は②5名を対象として、①毎週PTX療法(80mg/m^2)又は②PTX (175mg/m^2)/カルボプラチン療法で投与されるアルコールに相当する量の無水エタノールを同様の条件で点滴し、点滴前、点滴中、点滴終了時、点滴終了①80分後又は②120分後までの呼気中及び血中アルコール濃度を測定した。 【結果・考察】呼気中及び血中アルコール濃度は、無水エタノール点滴終了時に高値を示したが、酒気帯び運転の基準(呼気中 : 0.15mg/L)未満であった。また、点滴終了①40分後又は②80分後(カルボプラチン点滴終了20分後に相当)には検出限界未満となっていた。このことから、外来でPTX点滴後に帰路に着く頃には、アルコールの影響はあまりないことが推察された。また、検出された呼気中及び血中アルコール濃度は低値であり、相関関係を認めることはできなかったが、呼気中濃度が検出限界以下の場合は、血中濃度も酒気帯び運転の基準に相当する濃度(30mg/dl)よりも十分に低値であった。
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