2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25931009
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
宇津野 宏樹 信州大学, 医学部附属病院, 専門職員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 顕微授精 / 精子頭部形態 / 精子DNA断片化 |
Research Abstract |
体外受精による出生数は年々増加しているが、採卵あたりの妊娠率は高くない。原因のひとつとして、精子のDNA断片化が考えられている。しかし、DNA断片化を調べるために固定した精子は体外受精に使用できない。そこで本研究は、生きた精子を6000倍以上に強拡大する技を利用して、DNAの健全性を示す形態指標の開発を目的とした。 1. 高速で運動する精子の頭部形態測定法の開発。 ディッシュに10% polyvinylpyrrolidone (PVP)を薄く広げ、ミネラルオイルで被膜することで、精子を常に同一方向から撮影可能とした。撮影した精子頭部は、楕円フーリエ解析と主成分分析により、4つの数値で表すことができた。数値化により、精子の頭部形態を客観的に評価可能とした。 2. 精子の頭部形態とDNA断片化の関連。 (1)合計125の精子を形態測定した後、そのDNA状態をTUNEL法で評価した結果、頭部の長幅比が平均値に近い精子や、頭部輪郭が角張っていない精子、また頭部に大きな空胞がない精子では、DNA断片化の可能性が低いことが示された。 (2)50名の精子について、上記の形態指標の異常率とDNA断片化率の関連を調べた結果、有意な正の相関が見られた。 これらの結果は、強拡大視野における精子頭部の長幅比や角張度合い、空胞の有無が、DNA断片化を予測する上で有用な形態指標であることを示唆している。この知見が、体外受精の成功率改善につながることが期待される。
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Research Products
(5 results)