2014 Fiscal Year Research-status Report
水環境における院内感染原因菌の薬剤耐性獲得・伝達ポテンシャルの評価
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26340085
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
鈴木 祥広 宮崎大学, 工学部, 教授 (90264366)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 薬剤耐性腸球菌 / 河川 / 実態調査 / 耐性遺伝子伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
コマイシン耐性腸球菌(vancomycin-resistant enterococci, VRE)は,現存するほぼ全ての抗菌薬に耐性を示すため,有効な抗生物質が存在せず,院内感染において最も注意すべき薬剤耐性菌の一つである。一方で,腸球菌は水環境に普遍的に存在している。したがって,薬剤耐性腸球菌は医療現場に限らず,人々の生活と密接に関わる水環境に存在している可能性がある.そこでH26年度は,河川上流から河口・沿岸域に至る調査地点を設定し,腸球菌の各抗生物質に対する薬剤感受性を評価し,薬剤耐性化について調査した。 河川流域から単離した腸球菌222株は,エリスロマイシン,シプロフロキサシン,およびテトラサイクリンに対して耐性を示し,その割合はそれぞれ,55%(121株),36%(80株),14%(32株)であった。全ての調査地点から,薬剤耐性腸球菌が検出され,河川流域全体へ耐性菌の拡散していた。薬剤耐性腸球菌の割合は,上流から下流へ流下するに従って,減少する傾向を示した。 バンコマイシンに中度耐性以上を示した菌株の割合はそれぞれ,75%(3株/4株),7.9%(8株/101株)であった.vanC2/C3を保有する腸球菌は,都市河川の上流から下流に至る流域全体に拡散しているものの,バンコマイシンに対して耐性を示す菌株の割合は低いことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
都市河川における薬剤耐性腸球菌の実態調査を実施し,薬剤耐性を有する腸球菌が拡散している事実を明らかにすることができた。また,重要なバンコマイシンの耐性遺伝子も検出することに成功した。これらの知見は,国内外で最新のものである。 以上のように,計画通りに,研究が遂行している,
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Strategy for Future Research Activity |
水環境に広範囲で分布する腸球菌をターゲットとし、中規模都市「宮崎」を経由する都市河川を対象として、薬剤耐性腸球菌の拡散と分布を明らかにする。また、下水処理プロセスの活性汚泥や河川底泥などの水環境を模擬して、VREの主要な耐性遺伝子(vanA)を対象としたin vitro伝達実験を行い、耐性遺伝子の伝播ポテンシャルの評価を行う。
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