2016 Fiscal Year Research-status Report
アフリカ系アメリカ文学と視覚芸術における歴史的トラウマ表象の変遷
Project/Area Number |
26370349
|
Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
宮本 敬子 西南学院大学, 文学部, 教授 (60182044)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | トニ・モリスン / ノーマン・ルイス / 歴史的トラウマ表象 / 黒人表象 / 公民権運動 / ブラックアート運動 / ブラックパワー運動 / 抽象表現主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は以下のような研究活動を行った。 1)4月から7月にかけては、前年度3月下旬にアメリカで行った資料収集の文献を精査し、Toni Morrison とアフリカ系アメリカ人芸術家Norman Lewisとの関係について新たな知見を得ることができた。 2)7月下旬にはニューヨークで開催されたToni Morrison 学会に参加した。今回の学会のテーマは "Toni Morrison as Editor" であり、ランダムハウス社の編集者であったモリスンの編集を受けた作家たちのシンポジウムとラウンドテーブルを中心に、その日のテーマについて、グループに分かれてディスカッションを行い、その後各グループの討議内容を報告するというワークショップ形式の参加型学会でとても勉強になった。Angela DavisやSonia Sanchesなどの著名な作家に加えて、代表的なモリスン研究者とのワークショップで情報交換することができ、大変有意義な学会参加となった。ニューヨーク公立図書館にて資料収集を行ったほか、博士論文の指導教授であったJoan Copjecと書籍出版の件で面談しアドバイスをもらうことができた。 3)平成28年度後半は、前期で精査した文献をもとにMorrison とLewisの比較研究に基づいた論文執筆に取り組んだ。 4)1月上旬フィラデルフィアで開催されたModern Language Association年次大会に参加し、歴史的トラウマや黒人表象関連のセッションを中心に出席した。シカゴに立ち寄り、論文を執筆した芸術家Norman Lweisの回顧展を実際に見ることができて、さらに多くの新たな知見を得ることができた。 5)今年度の研究活動の成果は「『奪われた人々(家族)』と抽象表現主義への応答ーー『青い目が欲しい』とノーマン・ルイス」という論文にまとめ3月下旬に書籍として出版した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度も前年度に引き続き、学科や学会の役職のため、計画通りに研究を推進することは困難であったが、海外出張をなんとか遂行し、資料収集はかなり進展した。また今後の研究につながる新たな発見があり、年度末に論文としてその成果を発表することができたため、概ね順調と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度後半はフルブライト研究員としてブラウン大学に籍をおき、Joan Copjecの指導を受けつつこれまでの研究成果をまとめる作業に取り組む予定である。半年という短い期間であるが、アメリカ滞在という機会を大いに活用して、とりわけ短期間の出張では困難な資料を発見し、また日本では入手困難なアフリカン・アメリカン・アート関連の文献収集および精査を行う。
|
Causes of Carryover |
学科主任としての校務のため、予定していた海外出張をキャンセルしなければならなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度予定していた海外出張(American Literary Association 年次大会出席および資料収集)を本年度に実施する予定である。
|
Research Products
(1 results)