2014 Fiscal Year Research-status Report
バスク語諸方言の文法記述(「親世代」と「子世代」のことばの違いをめぐって)
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26370491
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
吉田 浩美 神戸市外国語大学, 外国語学研究科, 研究員 (70323558)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | バスク語 / 格語尾 / 後置詞 / 動詞・助動詞の活用 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,バスク語アスペイティア方言とセストア方言の若い世代をコンサルタントとして現地調査を行った. セストア方言については,前年度に,26才男子の母語話者をコンサルタントとし,動詞・助動詞の活用形を網羅的な調査を開始しており,今回はその続きを行った.バスク語では,親称で扱える聞き手と,親称で扱えない聞き手に対するコードにおいて動詞・助動詞の活用形が変わるが,そのどちらも調査した. アスペイティア方言については,従来の伝統的な文法記述においては当然のように「格語尾」とされているもののなかに,後置詞的な振る舞いをするものが見られることから,その区別の解明を目標とした.この方言についてはアクセントのシステムの全貌はまだ解明されていないが,この方言で後置詞なのか格語尾なのか明確でないものについて,アクセントの面から説明がつくのではなか,という予想の元に,25才男子の母語話者をコンサルタントとし,アクセントの面から調査を行った.結論としては,アクセントの面からのみ,格語尾か後置詞かを区別するのは困難なようである,と言えそうであることがわかった.結果については,2014 年度ユーラシア言語研究コンソーシアム年次総会 「ユーラシア言語研究 最新の報告」(日時:2015 年 3 月 27 日(金),場所:京都大学文学研究科附属ユーラシア文化研究センター(羽田記念館) )において,「バスク語の後置詞と格語尾についての予備的考察」 という表題のもとに発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
バスク語セストア方言について,子世代については調査ができたが,親世代については,適切なコンサルタント探しに手間取り,じゅうぶんな調査ができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
複数の方言を同時に調査せざるを得ない日程となっているが,限られた時間のなかで最大の成果を上げるためにも,調査ポイントをもう少し絞る必要があると考える.アスペイティア方言については蓄積があるので,この方言でとくに問題になっているポイントにしぼり,その点が他の方言でどのようになっているかを中心的に調査を行いたい. 調査ポイントは,動詞・助動詞の用法の違い(おもに例外的な使い方をされるものについて),名刺のアクセントを中心とする.
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