2016 Fiscal Year Research-status Report
バスク語諸方言の文法記述(「親世代」と「子世代」のことばの違いをめぐって)
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26370491
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
吉田 浩美 神戸市外国語大学, 外国学研究所, 客員研究員 (70323558)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 現代バスク語 / 方言 / 音韻 / 文法 |
Outline of Annual Research Achievements |
[研究の目的] 現代バスク語における世代間の相違を主に音韻・文法の面から探る. [2016年度の実施状況] 現地フィールドワークにおいて当該言語方言の母語話者の協力のもとに,次の二つの方言の調査を行った: (1)バスク語アスペティア方言の若い世代(20代半ば)の ①後置詞(句)のアクセント,②名詞のアクセント,③動詞述語のアクセント に関するデータ収集を行った.①については,後置詞のアクセントの実態を調べるだけでなく,文法との関連を調べることを目的とした.その成果は「バスク語アスペイティア方言の〈後置詞に見える形態素〉と〈後置詞〉の区別」の題で, 日本言語学会 第152回大会(2016年6月25日,慶應義塾大学三田キャンパス)で発表した.②については,「バスク語アスペイティア方言の名詞のアクセント(中間報告)」の題で,ユーラシア言語研究コンソーシアム年次総会「ユーラシア言語研究 最新の報告」(2017年3月30日,京都大学羽田記念館)において発表を行った.③についてはデータを補う必要がある. (2)バスク語エレシル方言の若い世代(20代半ば)の ①名詞のアクセントの調査,②文法(動詞と助動詞の活用形,および「AのBはCだ」を表す文において,A,Bに置かれる要素がどのような格をとり,動詞はどのようなものが現れるか,など)の調査を行った.この方言についてはなんらかの結論に至るまでに今少しデータを補う必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
バスク語アスペティア方言については予定どおりにデータの収集ができている. その他の方言においては当初の予定よりも遅れ気味であると言わざるを得ないが,その理由は,母語話者の調査協力者をさがすのに手間どることにあると言える.数字上は母語話者が相当数いても,時間やスケジュールが折り合わないなどの事情で,予定していたとおりの調査ができないことが起こり得る.
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Strategy for Future Research Activity |
バスク語サラウツ方言,エレシル方言,アスコイティア方言については,親世代,子世代のデータともに,補っていく. バスク語スマイア方言に関するデータ収集に着手する.母語話者の調査協力者がうまく見つからなかった場合のために,近隣の他の方言への調査に切り替える必要も視野に入れる.
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