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2014 Fiscal Year Research-status Report

トンキン通事系語学資料による文献方言史研究

Research Project

Project/Area Number 26370553
Research InstitutionChikushi Jogakuen Junior College

Principal Investigator

高山 百合子  筑紫女学園大学短期大学部, その他部局等, 教授 (70206895)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywordsトンキン通事系語学資料 / 文献方言史研究 / 肥筑方言 / 対外交渉史 / 外国資料 / 資料の全体的な整理
Outline of Annual Research Achievements

H26年度の計画は、概略①トンキン通事系語学資料の書誌的研究、②記載されている諸外国語の比較研究、③それらを資料とする文献方言史研究の3点から研究を行うというものであった。
①書誌的研究においては、トンキン通事系語学資料の全体像を明らかにするため、全資料の翻刻を進めた。資料相互の関係などを考察するまでには至っていないが、資料の全体的な整理はおおむね完了した。
②諸外国語の比較研究については、本年度は『訳詞長短話』『東京異詞相シュウ解』を主たる調査対象として、両書に記載された中国語およびベトナム語の漢字音の整理を行った。記載されたそれぞれの言語について、方言的な出自を明らかにするためである。中国語については先行文献もあり、ある程度までは見当がついている。一方、ベトナム語についてはどの程度方言調査が行われているか調べてみたが、現時点では拠るべき研究報告・論文が見出せていない。
③上記の音韻分野の調査とは別に、トンキン通事系語学資料の中の言語事象に関連して、肥筑方言の文法についても研究を行う必要性を感じ、考察を始めた。これに関しては「佐賀(市)方言の動詞活用―「語幹化」の視点から―」と題して研究発表を行った(H26年12月27日筑紫日本語研究会)。現在、この発表を基に、肥筑方言域(九州西部)を射程にして論文をまとめている。
参考図書について、本年度は、日本史・対外交渉史関係、蘭学・洋学資料、その他外国資料の主だったものを収集し、参照、活用している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

全体として、資料の整理に時間を費やし、まだじゅうぶん考察段階に踏み込めていないといった状況である。
①書誌的研究においては、資料の全体的な整理はひととおり行うことができた。そのうえで各資料を相互比較し、それぞれの影響関係を明らかにするところまでを予定していたが、そこまでは至らなかった。
②諸外国語の比較研究については、『訳詞長短話』『東京異詞相シュウ解』を主たる対象として、記載されている中国語およびベトナム語の漢字音の整理を行った。中国語については、とくに官話系方言、福州方言の音韻体系を先行研究によって把握し、トンキン通事系語学資料に記された中国語の出自について、自分なりの見解を示す必要があるが、時間の関係上、その点はじゅうぶん詰め切れなかった。ベトナム語については、方言レベルでの考察をすべきであるが、ベトナム語における方言研究の現状がまだつかめておらず、中古音、および現代標準ベトナム語との粗々とした比較以上のことはできていない。福州方言については、今後、現地調査も行いたいと考えてはいるが、まずは先行研究に拠って考察を進めていきたい。
③トンキン通事系語学資料による文献方言史研究については、まずは②の調査に基づいて、方言音韻史研究として、中国語およびベトナム語の仮名表記から、当時の長崎方言の音韻および発音傾向の推定が可能となる。最初にそれを論文としてまとめる予定であったが、並行して、肥筑方言文法・文法史研究や、加えて対馬の方言書『日暮芥草』の調査にまで手を付けたため、予定の論文をまとめるには至らなかった。

Strategy for Future Research Activity

平成26年度に残した課題を補いながら、基本的には平成27年度研究計画に従って研究を進めていく。
①書誌・文献研究については、継続して資料の整理を行い、研究資料として利用しやすい状態に整える。
②記載されている諸外国語の比較研究については、ポルトガル語とペルシャ語の概要を明らかにすることに重点を置いて調査を行う。
ポルトガル語については、『訳詞長短話』、『南詞シュウ解』を資料として、語彙、会話文を整理し、記載内容を把握する。場合によっては調査協力者等の助力を得て、言語資料としてどの程度の正確さがあるかなど資料性を測る。キリシタン資料との関連も考慮して調査を行う。さらに、ポルトガル語部分には日本語交じりのピジン的な要素が見られ、当時の交易の場でのコミュニケーションを彷彿とさせる。この点についてもできるだけ具体的に明らかにしていく。モウル語、つまりペルシャ語については、『訳詞長短話』の記載部分を資料として、そこに記された語彙、会話文の概要を明らかにする。ほとんど知識のない言語であるが、主に現代ペルシャ語との比較により、先行研究を参照しながら、可能な限り資料的な整理を行う。調査協力者の助力も得るものとする。
③方言史研究に関しては、以上の調査に基づいて、ポルトガル語とペルシャ語の仮名表記から、当時の長崎方言の音韻の推定を試みる。ポルトガル語については、キリシタン資料との比較検討も行いながら論文としてまとめる。論文化を常に意識しながら研究を進めていきたい。

Causes of Carryover

平成26年度に約22万5千円の次年度使用額が生じたのは、予定していた出張ができなかったためである。①中国・福建省での方言調査、②京都大学文学部図書館、③長崎歴史文化博物館、④長崎大学経済学部図書館等での調査を計画していたが、時間の都合などにより取り止めることとした。

Expenditure Plan for Carryover Budget

平成27年度に、上記①中国・福建省での方言調査、②京都大学文学部図書館、③長崎歴史文化博物館、④長崎大学経済学部図書館等での調査を行うこととする。

  • Research Products

    (1 results)

All 2014

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 佐賀(市)方言の動詞活用―「語幹化」の視点から―2014

    • Author(s)
      髙山百合子
    • Organizer
      筑紫日本語研究会
    • Place of Presentation
      九州大学文学部
    • Year and Date
      2014-12-27

URL: 

Published: 2016-05-27  

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