2017 Fiscal Year Annual Research Report
「日本語としての自然さ」を追求した日本語教育のためのシラバス構築と教材開発
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26370590
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増田 真理子 東京大学, 日本語教育センター/国際センター, 准教授 (30334254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 康人 東京大学, 日本語教育センター/国際センター, 教授 (40153069)
前原 かおる 東京大学, 日本語教育センター/国際センター, 講師 (10345267)
定延 利之 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (50235305)
副島 昭夫 麗澤大学, 外国語学部, 教授 (20236144) [Withdrawn]
河内 彩香 東京大学, 日本語教育センター/国際センター, 特任助教 (90728015) [Withdrawn]
藤田 朋世 東京大学, 日本語教育センター/国際センター, 特任助教 (00728016)
渡部 みなほ 東京大学, 日本語教育センター/国際センター, 特任助教 (10782782)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 初級日本語教材 / 「んです(けど)」 / 理由の「から」 / 表現者としての学び / 「生の日本語」の学習 / 相互的な会話の要素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、初級用日本語学習教材の構築である。目標としたことは、日本語学習者が、初級段階から「一表現者」として、自己の身の回りの出来事や、その際に湧き起こる感情を伝えることができ、また、他者とそれらを共有して人間関係を深めていけるような力として日本語を身につけていける教材の作成である。具体的には、日本語の実際の使用を踏まえ、「無助詞」「って(提題、引用)」や「終助詞」「んです(けど)」の文末用法など、従来の初級教材では提出を避けるか、会話文などに散発的に出現させるかに留まる傾向にあった要素を、日本語での会話をより相互的なものとするための重要な鍵と捉え、それらを「一文文法」としてではなく、明確な「状況・文脈」の中で学んでもらえるよう工夫した。このことによって、従来の教材に比べ、「つくりもの感」の薄い「生の日本語」の学習を、学習者に提供することが実現できた。 また、例えば、終助詞の「ね」がその長さや上昇/下降などの音調の違いによって「確認・共感・詠嘆」など様々な機能を持ちうることなど、日本語の音声的な特徴も学習内容として積極的に扱った。これは、短い発話を中心としたやりとりの多い初級学習者にとって、小さい負担で大きな表現性を獲得することに繋がるとの考えによるものである。さらに、学習項目の配列について、初級段階の習得的負担とともに、初級終了後の拡張性の確保も考慮し、「んです(けど)」「ので」「の(準体助詞)」「名詞修飾」などの項目を、従来よりも早い段階で提出することの有用性を明らかにした。 開発教材は、数回の改訂を行いつつ、代表者らの所属機関を中心にすでに500名以上の学習者に使用されている。また、教材開発の過程では、「んです(けど)」、「から/ので」をはじめとする学習項目についての基礎的な分析を進めることができ、学会等でそれらの知見を公表できた。
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