2014 Fiscal Year Research-status Report
低英語力の大学生に対するアクティブ・ラーニング型教授法の構築とその効果の検証
Project/Area Number |
26370649
|
Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
土屋 麻衣子 福岡工業大学, 福岡工業大学, 准教授 (80352285)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | アクティブ・ラーニング / 協同学習 / モチベーション / 英語苦手意識 / SDT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は英語力の低い大学生(LP)に対するアクティブ・ラーニング型(AL型)の教授法の枠組みを構築することを目的としている。 H26年度は、これまでの研究によってLPに対するAL型授業を効果的にすると推測された5つの仕掛けを授業で実行するために、協同学習の技法を導入した講義を5クラスで各30回実施した。LPに対する授業において、意欲の維持に効果的であると考えられたフィードバックカードの効果を確かめるために、同学年、同レベル、同教科書使用の2クラスのうち、1クラスには当該カードを使用しなかった(カードを除く他の条件‐進度、指導法、課題内容など‐はすべて同一)。また、AL型が教師の独善的なものではなく、学生(間)において自主性、積極性が生じているかを測るために、協同学習が成立する要素(相互依存、相互交流、個の2つの責任、振り返り、平等性)を基にしたアンケートを作成し実施した。 アンケートに関して、予備調査(AL型ではないクラスにも実施)のデータでの因子分析では、1要素が別の要素に統合され4要素が抽出されたが、AL型を実施したクラスでは2要素(平等性のある相互交流、相互向上意識)に集約された。良い協同学習では5つの要素が密接に関連する必要があるので、AL型を導入したクラスではその作用が起こり、2因子に集約されたと考えることができる(相関係数 .89)。 フィードバックカードの有無に関して、使用しなかったクラスでは、上記で見出された両方の2因子に対して否定的姿勢を取る学生の割合が使用クラスよりも高く、当該カードのLPに対する必要性が再確認された。英語力については、年度初め、年度末の公開テストにおいて、カード未使用クラスのみ低下する結果であった。直接的な因果関係は現段階では言及できないが、LPに対するAL型授業におけるフィードバックカードの重要性を推定する事象の1つとなったと考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究過程において観察された事象、測定された結果により、当初計画と実行順序が入れ替わる、また新規に調査する事項が生じたが、3年間における計画スパンで見れば大きく遅滞するものではないため、おおむね順調に進展していると評価する。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画書に記したように、H27年度もAL型での大学英語授業を実施し、その効果を測定する。H26年度の実践を踏まえ、修正すべき点等は改善を図る。計画書では本研究の授業形態をAL型という用語で集約していたが、より具体的な教授法の提示を図るため、昨年度に引き続きAL型に含まれる協同学習を主に実践することとする。計画にあるように、LPを対象とした授業で有効なアクティビティ(協同学習の技法)を確かめ、1授業のモデルフローの原案を立てることにする。
|
Research Products
(6 results)