2016 Fiscal Year Research-status Report
インタラクティヴなドイツ語作文添削システムおよびweb学習システムの開発と評価
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26370664
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
栗山 暢 九州大学, 言語文化研究院, 准教授 (60251386)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | e-learning / ドイツ語作文解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、e-learningシステムについては、教師(管理者)用のページを作成することを活動の中心とした。教師(管理者)が、授業中に、現在利用している学習者の学習状況をリアルタイムで知ることができることがのぞましいことは言うまでもない。本システムがそなえるべき機能としては、この、教師(管理者)がいつでもリアルタイムでクラスの学習状況を知ることができる、という機能だけでなく、授業中にさらにきめ細かく学習者とかかわることができるようになるため、特定の学習者の学習状況を知ることができる機能を考えなければならない。 それに加え、コンテンツ全体の学習状況を、クラスごとに俯瞰することを可能とするような機能もあった方がよい。これにより、学習があまり進んでいないコンテンツの一部分について、教材そのもの、あるいは教室でも教え方などを、見直すことが可能になり、コンテンツ・授業の進め方双方の改善をうながすことができる。下に示すように、これらの機能のほとんどの部分を実装することができた。 ドイツ語作文解析システムについては、インタラクティヴ化のために、定性的なものではあるが、学習者のログを精査するなどして、どの誤りについてインナラクティヴにヒントを与えるのが効果的か、ひきつづき考察した。 教材コンテンツでは、新たに英語の教材を作成した。協力校において試験的に運用してシステムが機能することを確認し、また、学習者の感想を得るなどすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
e-learningシステムについては、javascriptにより実装をすすめ、その結果、上で述べたことはほぼ実現することができた。具体的には、教師(管理者)は、いつでも、1)任意のクラスの任意のページの各設問について、学習者がどれくらい正しく解答しているか知ることができ、また、2)特定の問題につき、正解している、あるいは正解していない学習者の一覧を得ることができ、3)さらに、特定の学習者の当該のページを、学習者の学習状況をそのまま反映した形で見ることができるようになった。また、4)任意のコンテンツの任意のクラスについて、各ページにおいてどのくらいの学習者がどのくらいの割合で正解に達しているか、一覧を見ることができるようになった。3)に関しては、実際の授業において、教授者が学習者の顏と名前を一致させることが容易になるといった、予想外の効果も得ることができた。 英語の教材についても実験的な運用を始めた。世界史教材については、たとえば「教科書レベルの知識すら曖昧で市販の一問一答にも手がつけられない中、WEB教材では教科書の単語を逐一確認することができ、基本的な知識の獲得に非常に役立ちました。さらに教科書の表現を覚える助けにもなり、論述力も向上しました」などという、このシステムについて好意的な感想を得ることができた。 ドイツ語作文解析システムでは、学習者がおかしがちな誤りの中でも、非常に限定的な誤りがいくつかあることが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
e-learningシステムでは、まずもって、ドイツ語解析システムのインタラクティヴ化の実装をしたい。これまでのデータから比較的多いということがわかっている誤りについて、学習者がみずからの力で正解をみちびくことができるようにするために、どのような「ヒント」を与えるのが効果的か十分に吟味した上で、コードにおとしこんでいきたい。上に述べた、「非常に限定的な誤り」は、一般的な意味で「比較的多い」誤りとくらべるとはるかに捕捉しやすいものであるが、このインタラクティヴ化においてどこまでとりあげるべきか、さらに考えたい。 コンテンツを試験運用している中で、単に学習者に自習させたい場合があった。この場合には学習者に最初から正答を示すのが合理的なやり方であろうと思われ、実際にもそうしているが、現状では、便宜的に当該学習者に「教師権限」を付与して正解を示している。これでは「管理者」が学習状況を把握することができないので(すべて学習済とみなされるため)、正解は提示するものの教師権限は持たないようなモードを作成したい。 また、試験運用に協力していただいている学校から、特に英語に関して、一問一答形式で、記憶(暗記)のみに集中した教材を作りたいとの申し出があった。なるべく汎用的であろうとする本システムの趣旨からしても、その要望にはおこたえしたい。暗記問題をただ羅列して提示するような単純なやり方ではなく、より大きな効果の期待できる問題提示方法を模索した上で、実装したい。
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Causes of Carryover |
サーバを購入した後サーバ構築を依頼する予定であったが、今年度は古いサーバを使い続けることにより、とりあえずその必要がなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度には、購入すみのマシンにサーバをインストールするためなどに使用する。余裕があれば経年による機能低下が著しい作業用のPCを購入する。
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