2014 Fiscal Year Research-status Report
オスマン帝国=ヨーロッパ諸国間条約関係の歴史的展開
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26380221
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
黒木 真子(松井真子) 愛知学院大学, 文学部, 准教授 (80711324)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | オスマン帝国 / カピチュレーション / 条約 / 国際関係史 / 国際法史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本計画初年度にあたる2014年度は、本研究の背景や基礎となる、国際関係史の理論についての文献調査や、オスマン帝国とヨーロッパ諸国間の基本条約集の読込み・再検討に着手する一方、夏期(8月10日~8月24日)にイギリスにおもむき資料収集を行った。 イギリスでは、国立公文書館、大英図書館、オクスフォード大学ボードリアン図書館で資料収集・調査を実施した。各文書館、図書館ではオスマン帝国歴代君主がイギリスの諸君主にあてた「条約の書(アフドナーメ)」=カピチュレーションのオリジナルで現存しているもの閲覧し、電子イメージとして保存できた。複数のカピチュレーションの英語訳の写しを閲覧することもでき、カピチュレーションが複製・使用されていたその方法についての理解が深まった。また、19世紀におけるイギリスを主軸とする自由貿易網形成との関連を検討し、カピチュレーションの通商条約への発展過程を、他地域との比較をつうじて明らかにするため、特に国立文書館において、オスマン帝国とイギリス間の通商条約のオリジナルのみでなく、19世紀半ばにイギリスが中国や日本、タイと締結した条約の批准書なども閲覧、デジタル写真による保存を行うことができた。 研究の成果発表としては、夏期にイギリスで収集した資料の一部を利用した論文「1809年ダーダネルス条約の通商条項」が『愛知学院大学文学部紀要』第44号に掲載された。また1675年の対英カピチュレーションの諸条項に関する再検討をすすめており、論文にまとめて投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度より予定していた基礎的な文献の分析・条約集の再検討は順調に進行中である。また計画していたイギリスでの資料収集は、夏期に国立公文書館、大英図書館、オクスフォード大学図書館にておおむね順調に行うことができた。イギリスで収集した資料を利用した研究論文も執筆中である。 2014年度中の成果発表としては学会発表はできなかったものの、報告を予定していた内容を大学紀要への掲載論文として活字化できた。よって2014年度を通じ、本研究は順調に進展してきたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画としては、2015年度の計画であるトルコでの資料調査を実施して、またイタリアのヴェネツィアでの資料調査をあわせて行う予定である。計画ではトルコとフランスでの調査実施を2015年度に行う予定であった。しかしイタリアでの滞在・調査研究経験が豊富である知己の研究者が、同年度にイタリアにて在外研究中であり、初めてのヴェネツィアでの調査に力添えをお願いすることができたため、計画を一部変更し、イタリアでの調査を先行させ、フランスでの調査をその次の年度に行うこととした。 成果発表としては、イギリスやフランスに対するカピチュレーションの分析をおこない、それを学会や研究会での口頭発表、学術雑誌投稿の形で行っていく予定である。現在1675年対英カピチュレーションに関する分析を実施している。また19世紀イギリスの自由貿易推進に寄与した人物の一人であり、西アジアと東アジア、東南アジアで活躍した外交官バウリングに焦点をあてた分析を行い、学術論集にて発表する予定である。
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Research Products
(1 results)