2015 Fiscal Year Research-status Report
オスマン帝国=ヨーロッパ諸国間条約関係の歴史的展開
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26380221
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
黒木 真子 (松井真子) 愛知学院大学, 文学部, 准教授 (80711324)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | オスマン帝国 / 条約 / カピチュレーション / 国際関係史 / 国際法史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本計画2年次にあたる2015年度は、昨年度に引き続き、国際関係史とくに国際法史の理論についての文献調査や、オスマン帝国とヨーロッパ諸国間の基本条約集の読込み・再検討を進める一方、夏期(8月10日~8月24日)にはトルコ共和国イスタンブルにおもむき資料収集をおこなった。 イスタンブルでは、首相府オスマン文書局 Basbakanlik Osmanli Arsiviを中心に資料収集・調査を実施した。オスマン帝国歴代君主がヨーロッパ諸国の君主にあてた「条約の書(アフドナーメ)」=カピチュレーションの写しが記載されている『諸外国台帳Duvel-i Ecnebiyye Defterleri』(カタログ上は全113冊、ただし諸外国台帳ではないものも含まれている)や『君主書簡台帳 Name-i Humayun Defterleri』全14巻を閲覧し、必要な部分を画像データとして入手することができた。 研究成果の一部としては、昨年夏に収集した資料の一部を利用して、オスマン帝国下のエジプト・シリア、清朝中国、タイをめぐった19世紀の英外交官の即席から、これらの諸国とイギリスとの条約関係を分析した「ジョン・バウリングと通商条約の東西-一九世紀半ばにおける自由貿易条約網展開の一断面-」を執筆、本年7月に国際商業史研究会の論集のなかの一稿として刊行予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の基盤となる理論に関する文献の読込みや条約集の読解作業は順調に進行中である。また計画していたトルコでの調査も在イスタンブル首相府オスマン文書局にておおむね順調に実施することができた。ただし計画していたイタリアのヴェネツィアへの調査は本年度は実施できなかった。しかし調査予定だった資料の一部は、文書館のホームページで公開されており、それらを参照することができた。学会発表は行っていないが、国際商業史研究会論集執筆への参加という形で、研究成果の一部を執筆することもできた。 よって2015年度をつうじ、本研究は順調に進展してきたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画としては、2015年度に実施する予定であったフランスでの調査を夏期に行う予定である。成果発表としては、カピチュレーションにおける「最恵国条項」に関する分析を英文でトルコの雑誌に投稿予定である。またイギリス、フランスのカピチュレーションについての分析も進めており、投稿を予定している。
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Research Products
(2 results)