2017 Fiscal Year Annual Research Report
Multidimensional poverty and economic development in developing countries
Project/Area Number |
26380341
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
上山 美香 龍谷大学, 経済学部, 准教授 (90635640)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 途上国 / 貧困 / 経済発展 / アフリカ / 南アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、さまざまな統計データを用い、所得(消費)貧困のみならず教育や健康状態、国・地域内での格差や ジェンダー格差など多面的な貧困の特徴を比較検討、整理し、途上国おける貧困形態の特徴を明らかにすることである。 特に、一人当たりGNIを基準にする所得貧困が最も深刻な地域として、一括りに議論されがちな南アジアとサブサハラ・アフリカ諸国に関して、その詳細な比較分析を行なうとともに、一時点における貧困の特徴のみならず、経済発展のプロセスに伴い、貧困の諸形態がどのように変化していくのか、その地域的特徴を実証分析する。 関連文献、先行研究の整理によって、教育や健康状態、各種サービスへのアクセスといった所得以外の多面的な貧困概念に関して、可能な限りデータを遡り、各国・地域の状況の推移・特徴を整理した結果、2015年のMDGs達成期限に向けた多くの取り組みにより、各国・地域、特に所得面で最貧国に位置づけられる多くの国において、この10年間で急速に予防接種等接種率、就学率などの教育、保健分野のアウトプット指標に大幅な改善がみられることが明らかとなった。これらの指標の改善は一概には所得水準の上昇と連動しているとはいえず、国際社会全体での取り組みの成果といえる。ただし、これらの成果は特に供給側面の押上には効果があったが、学業成績、健康状態といったアウトカム指標、人々の意識・行動の変化が必要なジェンダー格差においては、効果の幅が小さいことも明らかとなった。 今後の研究として、本研究で明らかになった各国・地域における貧困形態の推移・特徴をふまえ、1990年、2000 年、現在の3時点を中心に、包括的貧困形態の地域別特徴を示す「貧困マップ(見取り図)」を作成し、各地域の貧困の特徴、貧困問題の核心がどのように変化してきたのかを整理したい。
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Research Products
(2 results)