2016 Fiscal Year Research-status Report
日本製薬企業の研究開発力向上のための組織構造と組織文化のリーダーシップ
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26380469
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
小原 久美子 県立広島大学, 経営情報学部, 教授 (40290423)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 研究開発型組織 / 創薬のイノベーション / 組織リーダーシップ / 組織構造 / 組織文化 / 経営理念 / 新しいビジネスモデル / 製薬企業の責任 |
Outline of Annual Research Achievements |
グローバルに競争が激化する製薬産業において、経営トップの強力なリーダーシップの下、企業による継続的な新薬の開発やイノベーションが成功の鍵ともいえる。今日では「世界的に通用する医薬品を多く有し、世界市場で一定の地位を獲得している総合的な新薬開発企業」モデルでさえ限界があるとの見解もある。そこで、今後の世界の医薬品開発をリードするブロックバスター中心でない新しいタイプのグローバルメガファーマの一角を目指すことを目的に、日本製薬企業の研究開発組織の組織構造とリーダーシップに着目する。そして、日本製薬企業の研究開発力向上のための組織構造と組織文化のリーダーシップに関する調査研究をなすものである。 本研究の学際的な特色は、医薬品業界における今日的諸問題を解決するために、その個別企業であるグローバルメガファーマに着目し、経営組織論の視点から探究をなすものであり、その独創的な点は以下の通りである。1.日本製薬企業の経営業績向上は、実は、その企業独自の組織文化と密接に結びついていることを実証的にも明らかにした点、2.その手法としては、これまでの研究がマクロレベルの分析が多かったことから、組織文化の浸透が企業の経営成果に貢献するという因果関係の検証に限界があり暗黙裡に想定されているにすぎなかった。そこで、組織成員、特に研究者に焦点を当て、ミクロレベルから、つまり、組織における成員個々人の側からの意味解釈に着目する。 そして、個々の成員はどのようにして組織における意味や価値(経営理念)を共有していくのか、さらに、そのリーダーはどのような役割を持ち、リーダーシップをどのように発揮していくのかのプロセスの解明を試みた点にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究テーマに対応させて、企業の経営理念とパフォーマンスとの因果関係を明らかにしている先行研究や研究開発型組織のリーダーシップ研究、今日の日本製薬企業の経営戦略等の先行研究、日本製薬企業の新しいビジネスモデル構想など、製薬企業経営に関する先行研究の理論の精密化を図った点が主な理由である。また、調査対象企業である武田薬品工業へ出向き特に経営理念と創薬開発型組織についてインタビュー調査を実施した点があげられる。さらに、2015年度では組織学会全国大会、日本経営学会全国大会にて学会発表を実施した。2015~2016年度に日本経営学会学会誌や県立広島大学経営情報学部論集などに掲載した。2017年4月に本研究内容も部分的に含めて、経営系学部学生及び社会人向けのテキストを編著にて出版した。但し、今日の製薬企業を取り巻く環境は急激に変化しており、調査対象企業への再度のインタビュー調査を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
筆者の研究テーマは、日本製薬企業の研究開発力向上のための組織構造と組織文化のリーダーシップについてであるが、今日の製薬企業を取り巻く環境は急激に変化しており調査対象としていた企業も抜本的な組織改革が実施されている期間での研究となる。すでに調査対象会社へのインタビュー調査は実施したものの、その後の経営者交代など組織変革により著しく改革がなされていることから研究期間を延長して29年度にさらに本研究のより精密化を目的にその後の企業取材及び調査研究依頼を進める。具体的には、調査対象企業の創薬研究開発組織における研究者及び研究チームリーダーに対して、インタビュー及びアンケート調査を実施したい。
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Causes of Carryover |
筆者の研究テーマは、「日本製薬企業の研究開発力向上のための組織構造と組織文化のリーダーシップ」であるが、今日の製薬企業を取り巻く環境は急激に変化しており、調査対象としていた企業も抜本的な組織改革が実施されている最中での研究であった。そのため、研究期間を延長して、29年度に、本研究のさらなる精密化を目的に、改めてその後の企業取材および調査研究の依頼を進め、よりよい研究成果報告書を作成したい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
(1)5月下旬~7月下旬において、インタビュー調査およびアンケート調査項目の再検討と調査依頼を実施する。調査では、出張旅費として、1回:5万円~6万円を見込んでいる。(2)7月初旬~12月下旬において、研究経過報告書の作成し印刷製本を仕上げる計画である。
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