2014 Fiscal Year Research-status Report
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26380553
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
團 泰雄 近畿大学, 経営学部, 教授 (60298502)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 人材調達 / 内部労働市場 / 新規事業開発 / 多角化戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本企業は経営環境の変化への対応策として新規事業を行う際に必要な経営資源の調達という課題に対して、現有の内部資源を活用することによって対応し、成果を上げてきたが、今後日本企業が生き延びていくためには事業立地転換を行う(既存の事業分野から離れた分野へ進出する)ことが必要であるとも指摘されている。事業立地転換に当たって問題となるのは人的資源の調達であり、外部人材の採用か内部人材からの配置転換と再教育のどちらかを選択するか、あるいは両者を組み合わせることによってそれは実現される。 本研究では、事業立地を転換した企業において、それらがどのように行われているのか、またなぜその方法を選択したのか、その規定要因を明らかにすることを目的としている。 初年度である2014年度はまず、人的資源管理論、組織論、管理論、労働経済学、中でも特に経済学をベースとする内部労働市場論、イノベーションに関連する組織論、企業内での新規事業開発に伴う人的資源管理面での対応に関連する文献研究を行い、そこで得られた知見を盛り込んだ論文を公刊した。 明らかになった主な結果としては、(1)企業の人材ポートフォリオにおいて、ある職務に人を割り当てる場合、正規雇用と外部人材を含めた非正規雇用との選択を考えることが多いが、内部育成人材と中途採用人材との選択も重要であり、一企業を対象としてその要因を探る研究が必要であること、(2)既存の大企業における新規事業開発において人的資源管理の問題が重要であるという認識が広がりつつあることなどを挙げることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2014年度には、上述の「研究実績の概要」に記したように、文献研究を進めることができ今後の方向性を見定めることができた点や、論文を公刊できたという点である程度計画を達成することはできたと言える。 しかしながら、日本企業のケースを収集するためのインタビュー調査は進めることができず、文献研究で見出された方向性を実際に企業の方との対話の中で検討するところまで至ることができず、質的な分析を行えるだけの情報も得ることができていない。 以上から、当初の研究目的や計画で掲げた水準まで到達しているとは言えず、したがって「やや遅れている」の評価が相当であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は、まず2014年度中に実施できなかった日本企業へのインタビュー調査を実施することが課題である。文献研究で見出されたことがどの程度妥当性を持つのかを検証することが必要である。また、検討課題に対する理解をさらに深めるため、文献研究も引き続き行っていく予定である。 また、研究成果をまとめ、積極的に発表してくい予定であり、まずは文献研究をまとめ今後の課題を提起する論文を次年度に論文として公刊する予定である。 さらに、インタビュー調査と並行して、当初の計画通り、主に東証一部上場企業を対象としたアンケート調査を実施する予定であり、できるだけ早い段階でその準備に取りかかる予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、当初予定していたインタビュー調査が1回分実施できなかったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の次年度の予定に加えて、当該インタビュー調査を次年度に実施することにより、使用する。
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