2016 Fiscal Year Research-status Report
自己制御に係る2つの気質と対人場面での「自己」の制御:就学前期の縦断研究
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26380909
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
水野 里恵 中京大学, 心理学部, 教授 (10321019)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 行動的抑制傾向 / エフォートフル・コントロール / 内在化問題行動 / 外在化問題行動 / 気質 / パーソナリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)コホート3研究対象者に対して,エフォートフル・コントロールや行動的抑制傾向が,内在化問題行動,外在化問題行動に与える影響を検討した。53名のCBCLに対する回答(第6回質問紙調査)を実施し,縦断データの分析を行った。その結果,行動的抑制傾向が高い子どもは,内在化問題行動の得点も高くなること,すなわち,発達初期に新しい環境や人物への不安傾向が高いと,就学前期に日常生活の不安や恐怖に敏感になることや抑うつ傾向を示しやすいことが示唆された。 (2)新規研究対象者を対象に,以下の2種類の実験的観察調査を実施した。1つは,これまでの実験的観察調査で実施してきたEC を測定する 5 課題に加えて,実行機能の測定を行うものである。具体的には,実行機能の測定はサイモンセッズ課題,DCCS(Dimensional Change Card Sorting)課題,逆唱スパン課題の3課題により実施した。もう1つは,呈示刺激を変更しての行動的抑制傾向の測定である。 (3)本研究課題の中間報告となる著書を執筆した。本書においては,気質・パーソナリティの概念について整理した後,気質の生理的基盤に関する歴史的変遷について紹介した。そして,情動反応性・情動制御性における個人差を気質的個人差と考えることの妥当性について議論し,それらの個人差の安定性・変容性をもたらすメカニズムについて考えた。次に,いかなる行動規準が内面化されていくのかがパーソナリティの個人差をもたらすとの考えに立って,親や同胞集団などの行動規準が内面化されていく過程に関する理論の整理を行った。そして,2010年出生コホートを対象とした気質・パーソナリティ研究についての報告として,実験的観察法の手続きや質問紙調査の内容を含め,5年間の縦断研究の一部データを分析した結果について執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コホート3に対する質問紙調査については予定通り実施した。しかし,実験的観察調査については,研究協力者の母親に第二子が誕生したり,研究協力者の子どもも幼稚園に通うようになったという事情もあり,調査日程の調整が思ったようには進まなかった。 その対策として,新たに研究協力者を募り,2種類の実験的観察調査を実施した。これにより得られたデータを交えて,就学前期の子どもの気質的行動特徴を分析する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
第6回質問紙調査のデータの分析を終了し,学会での発表を行う予定である。 コホート3の縦断データと実験的観察データと新規募集による横断データとから,就学前期の子どもの気質的行動特徴について分析しまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
第6回質問紙調査のデータ分析中であり,分析結果については2017年度開催の日本心理学会で報告予定である。コホート3の実験的観察調査が当初の予定通り進まなかったため,新規募集者を対象に横断データを加える形になり,就学前期の子どもの実験的観察データの収集に時間がかかった。そのため,実験的観察データの分析が次年度にずれ込むことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データの整理・保管に伴う事務用品の購入,関連文献・図書の購入,ならびに,成果発表を行う日本心理学会への旅費に使用する予定である。
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Remarks |
プロジェクト研究の案内(一般向けウェブページ)と研究協力者募集をウェブページにて実施している。ウェブページ名は,「中京大学 心理学部 社会発達心理学教室 ちびっ子研究プロジェクト」
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