2017 Fiscal Year Annual Research Report
Emotion-related temperamental regulation and interpersonal self-regulation in preschool age children
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26380909
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
水野 里恵 中京大学, 心理学部, 教授 (10321019)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 気質 / 行動的抑制傾向 / エフォートフル・コントロール / 実行機能 / 自己制御 / 対人場面 / 外在化問題行動 / 内在化問題行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は,60ケ月齢児30名を対象にECと実行機能を実験的観察法で測定したデータの分析を行った。ECと実行機能の測定結果から,EC の「行為の始発・抑制」の側面は,実験的観察と質問紙調査の両方で観察が可能であるが,「実行注意」の側面は, 日常生活において顕現した行動として捉えることが難しく,むしろ,実験的観察によって測定できると考えられた。また,第6回質問紙調査に関する学会発表を行った。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果は以下の2点である。(1)情動反応性に係る気質である行動的抑制傾向と情動制御性に係る気質であるエフォートフル・コントロールの発達初期から観察される個人差が子どもの社会性の発達に影響を及ぼしていることが示唆された。第一に,社会性の一側面である対人場面での自己制御行動に対してである。2つの気質は「自己」の制御行動に関して,同年齢の子ども・きょうだいに対して異なった関与の方向を示した。きょうだいに対して主張面・抑制面双方で「自己」の制御ができる子どもはエフォートフル・コントロールが高い子どもであり,同年齢の子どもに対して自己主張ができる子どもは行動的非抑制傾向にある子どもであると考察された。第二に,内在化問題行動・外在化問題行動への関連性である。行動的抑制傾向が高い子どもは就学前期になると内在化問題行動を示しやすいこと,エフォートフル・コントロールが高い子どもは外在化問題行動を示しにくいことが示唆された。(2)情動反応性・情動制御性に係る気質の生理基盤の最新の知見を紹介し,本研究の実証研究の成果を交えて,気質からパーソナリティの発達を考える一般向けの書籍を公刊した。
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