2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26460252
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
大河原 剛 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20469034)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自閉症 / セロトニン神経 / 妊娠中のウイルス感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠中のウイルス感染は、自閉症を含む発達障害を引き起こすことが報告されているが、その発症メカニズムはほとんど解っていない。本研究では、「妊娠中のウイルス感染による自閉症の発症には、①臨界期が存在するのか、②免疫活性化の閾値が存在するのか」、という問いに答えを見出すことを目的とする。自閉症の判断基準として、実際の自閉症のヒトの脳で見られる異常である①セロトニン神経系の機能低下、②小脳のPurkinje 細胞数の減少を指標とし、妊娠中のウイルス感染による自閉症の発症モデルとしてpoly I:C を投与したラットを用いて研究を行う。 平成26年度の研究では、妊娠中のウイルス感染により引き起こされる自閉症の臨界期を明らかにする為に妊娠5, 10, 17, 18, 19, 21日目、生後4, 5, 10日目のWistarラットに10 mg/kgのpoly I:Cを腹腔内注射し、オスの仔ラットが生後8週齢になった時点で、海馬を取り出し、HPLCによりセロトニン含量の測定を行った。その結果、妊娠5, 10, 17, 21日目、生後4, 5日目にpoly I:Cを投与した群において、海馬セロトニン含量の有意な低下が見られた。しかしながら、妊娠18, 19日目、生後10日目にpoly I:Cを投与した群では、変化が見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたpoly I:Cの投与時期(妊娠5, 10, 17, 19日目)だけでは、臨界期の同定が困難であったため、さらにpoly I:Cの投与時期を追加して、詳細な解析を行った。その結果、臨界期は少なくとも2つの期間(妊娠5日目~妊娠17日目、妊娠21日目~生後5日目)に分かれていることを明らかにした。当初予定していた実験だけでは、臨界期の検討が困難であったため、さらに実験を追加して、平成26年度中に臨界期を同定できたため、本研究はおおむね順調に進行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究では、妊娠中のウイルス感染により引き起こされる自閉症の臨界期は少なくとも2つの期間に分かれていることを明らかにした。 平成27年度以降は、以下の2つの点に関して明らかにする。 ①poly I:Cの投与量を変えることで、コントロール群に比べサイトカイン遺伝子の発現量が10, 100, 1000倍程度変わる投与量を明らかにする。その後、先ほどの実験で決定した投与量を妊娠10日目のラットに投与し、産まれてきた仔が生後8週齢になった時点で、海馬を取り出し、セロトニン含量に変化がないか調べる。この実験を行うことで、自閉症を引き起こすサイトカインの発現量の閾値を明らかにする。 ②自閉症を引き起こすサイトカインの発現量の閾値を明らかにする為に、小脳のPurkinje 細胞数を指標に解析を行う。具体的には、平成26年度に決定したコントロール群に比べサイトカイン遺伝子の発現量が10, 100, 1000 倍程度変わる量のpoly I:C を妊娠10 日目のWistar ラットに投与し、生まれてきた仔ラットが8週齢になった時点で、小脳を回収して、凍結切片を作製する。切片は、抗calbindin 抗体を用いて染色し、PCL の長さあたりのPurkinje 細胞数の計測を行うことで、自閉症を引き起こすサイトカインの発現量の閾値を明らかにする。
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Research Products
(1 results)