2015 Fiscal Year Annual Research Report
V型ATPaseにより形成される酸性環境を標的とした肉腫新規治療の開発
Project/Area Number |
26861196
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
西庄 俊彦 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 講師 (40444723)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 酸性環境 / 肉腫 / V-ATPase |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性腫瘍組織内では古くから酸性環境が形成される事が知られている。近年、この酸性環境が悪性腫瘍にとって重要な微小環境であることが明らかになりつつある。肉腫においても組織内は酸性環境であることが報告されており、その進展に関与する可能性が示唆されているが、詳細は不明である。 まず酸性環境が肉腫細胞に及ぼす影響について検討することとした。脂肪肉腫細胞株(SW872)をpH6.4およびpH7.4で調節したメディウムでそれぞれ培養をおこなった。Invasion assayを行ったところ、酸性環境下の培養で、SW872は高い浸潤能を示した。一方、proliferation assay, migration assayではpHの変化で有意な差は無く、酸性環境による増殖能、移動能への影響は認めなかった。 次に酸性環境を形成する重要な因子としてプロトンポンプV型ATPase (V-ATPase)に注目した。V-ATPaseは約13種類のサブユニットからなるプロトンポンプで細胞内外の酸性環境の形成に寄与している。切開生検または腫瘍摘出時に得られた組織からmRNAを抽出し、RT-PCRにて脂肪腫と脱分化型脂肪肉腫でV-ATPaseのアイソフォームのmRNAの発現を比較したところ、脱分化型脂肪肉腫においてアイソフォームa3, E2, F, G2, H の発現が高いことが明らかとなった。この中でもプロトン輸送に直接関与するa3の発現について免疫組織学な検討行ったところ、脂肪肉腫細胞での発現を認めた。 酸性環境は脂肪肉腫細胞株の浸潤能を増強させた。また、V-ATPase a3, E2, F, G2, Hは脂肪腫に対して脱分化型脂肪肉腫で発現が高く、肉腫の進展になんらかの関与がある可能性が示唆された。
|
Research Products
(6 results)