1988 Fiscal Year Annual Research Report
癌患者単球・マクロファージの抗がん活性発現能とその強化
Project/Area Number |
63570293
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
曽根 三郎 徳島大学, 医学部附属病院, 講師 (40145024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 明夫 徳島大学, 医学部附属病院, 助手 (90203728)
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Keywords | 単球 / マクロファージ モノカイン / インターロイキン1 / 腫瘍壊死因子 / 肺癌 / リポソーム / 細胞障害作用 |
Research Abstract |
癌に対する生体防御機構の中でマクロファージは重要な役割を担っている。そこで、健常人および肺癌患者における末梢血単球及び組織マクロファージのモノカイン産生能並びに癌細胞障害能について検討し、次の点を明らかにした。 1.ヒト末梢血単球は適当な活性化刺激後、TNFおよびIL-1βを産生分泌するが、膜結合型IL-1αも産生し、癌細胞との直接的接触を介した癌細胞障害反応を担うことを明らかにした。同時にその様な膜結合型IL-1α産生誘導には、IFN-γが一次刺激として働き、細菌内毒素あるいはムラミルジペプチドは二次刺激として働くことを明らかにした。さらに、成熟した肺胞マクロファージは活性化刺激後、末梢血単球に比し分泌型IL-1βの産生は有意に低いが、膜結合型IL-1α産生能は逆に高いことを確かめた。 2.胸腔内マクロファージを癌性胸膜炎のない肺癌患者の胸腔から洗浄法にて採取し、癌細胞障害能およびモノカイン産生能について末梢血単球と比較検討した。その結果、胸腔マクロファージは末梢血単球より高い細胞障害活性を示し、モノカイン産生に関してIL-1よりTNFを有意に多く産生することを確かめ、マクロファージの成熟度によって異なったモノカイン産生能を発揮することを明らかにした。 3.肺癌患者末梢血単球は細菌内毒素域はムラミルジペプチド刺激の場合、IL-1産生能の比較では健常者群との間に有意差を認めなかった。一方、肺癌患者単球の癌細胞障害活性は健常者群に比し有意に低かったが、人工脂質膜粒子リポソーム内に封入したムラミルジペプチド誘導体にて刺激した場合、肺癌患者単球は健常人と同程度の癌細胞障害活性を獲得しうることを明らかにし、活性化物質の到達性を高めるための担体としてのリポソームの有効性を確かめた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] S.Sone,et al: The Journal of National Cancer Institute. 80. 425-431 (1988)
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[Publications] S.Sone,et al: Gann Monograph on Cancer Research. 34. 121-130 (1988)
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[Publications] S.Sone,et al: International Journal of Cancer. 42. 428-434 (1988)
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[Publications] S.Sone,et al: Cancer Immunology and Immumotherapy. 27. 33-37 (1988)
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[Publications] A.Okubo,et al.: Cancer Research. 49. 265-270 (1989)
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[Publications] N.Inamura: Cancer Immunology and Immunotherapy. 28. (1989)
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[Publications] S.Sone: "Liposomes in the Therapy of Infectious Diseases and Cancer" Alan R.Liss,Inc., 125-134 (1989)