2015 Fiscal Year Annual Research Report
多様な時間スケールを持つ突発電波天体の観測
Publicly Offered Research
Project Area | New development in astrophysics through multimessenger observations of gravitational wave sources |
Project/Area Number |
15H00784
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
新沼 浩太郎 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (30434260)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 突発天体 / VLBI / 高時間分解能 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙において突発的に電波で輝く天体を「トランジェント電波源」と呼び、これまでの観測から宇宙論的距離で発生している天体現象の可能性も示唆されているが、その正体はいまだ不明である。そこで、本研究では国内電波観測装置を用いて「多様な時間領域パラメータを持つトランジェント電波源に最適化された観測体制」を構築し、トランジェント電波源検出時に、母銀河(対応天体)の有無、電波帯における放射機構に関する示唆、放射領域サイズへの制限、などトランジェント電波源の正体解明に直接的に繋がる情報を得ることを目的としている。 そこで本研究目的を達成するためにH27年度は1)高感度VLBI による追観測体制の構築、2)電波帯における広域モニター及び追観測体制構築、3)高分散分光処理システムの開発、を目指した。1)および2)を実現するため、VLBI観測を行う上での「肝」となる相関器を開発・導入した。これにより観測から相関処理までのVLBI観測に必要な全てを山口大学で実施可能になったため、山口大学-茨城大学などの国内大型電波望遠鏡を用いた高感度VLBI観測網の確立へ目処がたったと言える。また、実際に突発現象が発生した際の観測体制についても、茨城大学の代表者と議論を重ね、山口大学に構築したデータサーバーを茨城大学にもH28年度初頭に構築し十分にデータを取りためることができる状態にする方針を確認した。これによりVLBIとして他波長における突発天体の速報にも躊躇なく対応できるようになると期待できる。 3)については、VLBI相関器システムの開発・導入に当初予定よりも時間がかかったため、H27年度中における高分散分光システムの各局導入には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初ではH27年度末までに山口32m及び臼田64mに高分散分光処理システムを導入予定であったが、VLBI相関処理システムの開発・導入に時間がかかったため、本システムの導入が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
高分散分光処理システムの各局への導入が当初予定に比べて遅延した。しかしながらVLBI追観測体制の構築がほぼ終了したため、H28年4月には実際にカニパルサーなどの試験観測を行い、本システムの導入に向けた準備を開始している。試験観測で得られた実際のデータを本年夏までに本システムによって処理することでシステムにおける不具合等を洗い出し、本研究目的のために最適化する。山口32mに導入したものと同じものをもう一台用意し、臼田64mにも導入することで9月中には臼田局においても試験的運用の開始を目指す。
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Research Products
(5 results)