2015 Fiscal Year Annual Research Report
光感応性大環状へテラスマネンの創製と高効率光電荷移動システムの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Stimuli-responsive Chemical Species for the Creation of Functional Molecules |
Project/Area Number |
15H00918
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
古川 俊輔 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (70625590)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 光電子移動 / 大環状分子 / 人工光合成 / ヘテラスマネン |
Outline of Annual Research Achievements |
光合成の反応中心では,タンパク・発色団・アクセプタといったそれぞれの役割を担ったユニットが巧みに空間配置されることにより,極めて高効率な光電荷分離システムを構築している.その中でも,発色団であるクロロフィルは,太陽光を効率的に吸収するために大環状様に配置され光アンテナを形成し,この光アンテナから電子を受け取るためのアクセプタ分子は,大環状構造内部に空間配置されている.この自然が織りなす特異な空間配置は,高効率光電荷分離システムを構築するうえで,極めて興味深い研究対象である.しかしながら,従来までの有機合成化学的アプローチでは,光合成反応中心の電子移動系を単純化したドナー・アクセプタ連結型分子が主たる研究対象であり,光電子移動に関わる各構成ユニットの空間配置の影響に関しては,未だ明らかになっていない.そこで本研究では,光合成反応中心の空間配置効果を浮き彫りにできる大環状モデル分子群の新規な構築法を確立し,光合成を凌駕する高効率光電荷移動システムを指向した新学理の構築を目指している. 大環状分子の構成ユニットとなるクロモフォアとしてヘテラスマネンを選定し,段階的な連結法を採用することで,大環状分子の合成を目指した.今年度の検討において,その段階的連結法の根幹部分を成すスピロ型二量体の合成法を確立することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の検討では,大環状分子の合成に欠かせない根幹反応を確立することに成功した.目標となる大環状分子の合成は,本手法を繰り返すことで達成可能である考えられる.本結果は,研究計画に示した幾つかの克服すべき課題のうち,第一関門を突破したことになり,おおむね順調に進展している. また,今回合成に成功した大環状分子の部分構成ユニットにあたる二量体は,π骨格が拡張したスピロ連結型ヘテラスマネンであり,新規な次元性拡張型パイ共役分子として興味深い.本分子のX線結晶構造解析による構造および光吸収特性も明らかにした.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の検討で確立した根幹反応を基に,大環状分子の合成を目指す.即ち,既に合成に成功している二量体を基質として用い,同様の手法と適用することで四量体とする.これを繰り返すことでモノマーユニットを8つ有する大環状分子とする. 大環状分子を得た後,その光アンテナ機能,および電子ドナーとしての性質を評価するべく,電気化学測定による電子準位の算出及び,吸収・発光スペクトルにより分子の励起状態に関する物性測定を行う.電子ドナーとして要求される電子準位は,適切なアクセプタ分子を選択することである程度可変であるが,望ましい物性が得られない場合は,架橋する典型元素や周縁部置換基を変更することで物性のチューニングを図る. 大環状ドナー分子にアクセプターユニットを導入することで光電子移動系を構築し,その光電子移動効率の評価を行う.アクセプターユニットの導入位置は,大環状分子の環内,環状,環外とし,光電子移動の空間配置の重要性について評価を行う.
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Research Products
(7 results)