2015 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞壁多糖合成に関与するゴルジ体局在膜タンパク質複合体の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Plant cell wall as information-processing system |
Project/Area Number |
15H01241
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
石水 毅 立命館大学, 生命科学部, 准教授 (30314355)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 植物 / 細胞壁 / ペクチン / タンパク質複合体 / 酵素 / 糖転移酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物細胞壁多糖の構築は、主にゴルジ体で行われ、ペクチンでは約50、キシランでは約15の糖転移酵素が関与すると推測されている。しかし、これらの酵素がどのように連携して複雑な構造の多糖を構築しているのか、については知見がない。ゴルジ体タンパク質が微量にしか存在せず、これまでにゴルジ体局在の膜タンパク質複合体が同定されたことがないためである。本研究では、まず植物ゴルジ体局在膜タンパク質複合体の解析法を構築する。主にブルーネイティブポリアクリルアミド電気泳動法(BN-PAGE)を適用する。細胞壁多糖合成に関与するゴルジ体局在膜タンパク質複合体の同定を試みる。この解析のために、糖転移酵素を生化学的に同定する方法が必要である。これまでにペクチン成分ホモガラクツロナン主鎖とキシラン主鎖の合成に関与する糖転移酵素の生化学的解析を行っている。本研究ではさらに、ペクチン成分ラムノガラクツロナンI主鎖の生合成に関与する糖転移酵素の生化学的解析を行う。基質調製、活性測定法の構築から行う。 二次細胞壁合成が盛んなVND7発現誘導タバコ培養細胞BY-2のミクロソーム画分をオルガネラ分画した。ゴルジ体タンパク質と小胞体あるいは原形質膜タンパク質を分画する条件を確立した。ゴルジ体をメインに含む画分を中心に、BN-PAGEにより分析した。これまでに、ゴルジ体画分にのみ見られる800kDa、850kDaなどのタンパク質複合体を見いだすことができた。植物ゴルジ体で見出された初めてのタンパク質複合体である。 ペクチン成分ラムノガラクツロナンI主鎖の生合成に関与する糖転移酵素の活性測定に必要な基質を調製し、それらの酵素の活性測定法を構築した。微量化し、シロイヌナズナ種子ムシレージの抽出物で活性測定できるようにもした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べた実績は、当初計画した2015年度予定を達成したものであり、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
植物細胞のゴルジ体画分に特異的に発現するタンパク質複合体を見いだすことができた。今後は、これらのタンパク質に細胞壁多糖合成活性があるか、生化学的に調査していく。電気泳動ゲル内のタンパク質の酵素活性を測定するための条件至適化が必要である。複合体タンパク質に細胞壁多糖合成活性が検出できた場合は、そのタンパク質組成分析を行う。BN-PAGEで分離したタンパク質複合体をSDS-PAGEにて分析し、既存の方法に従い、構成タンパク質を同定する。 ペクチン成分ラムノガラクツロナンI主鎖の生合成に関与する糖転移酵素の活性測定法を構築し、微量化した。ラムノガラクツロナンIが主に合成される種子ムシレージ生合成時に発現する遺伝子群から候補遺伝子を選抜し、これらの遺伝子がコードするタンパク質を植物培養細胞で発現させる。その酵素活性を検出することで、ペクチン生合成に関わる糖転移酵素を同定する。候補遺伝子変異体植物の酵素活性を野生型のものと比較する実験も進める。
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Research Products
(17 results)
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[Book] 植物細胞壁実験法2016
Author(s)
石井忠、石水毅、梅澤俊明、加藤陽治、岸本崇生、小西照子、松永俊朗 編著
Total Pages
404 (39-42, 299-303, 334-337, 390-395)
Publisher
弘前大学出版会
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