2015 Fiscal Year Annual Research Report
mRNAディスプレイ法による翻訳アレスト配列探索技術の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Nascent-chain Biology |
Project/Area Number |
15H01543
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
土居 信英 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (50327673)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 蛋白質 / 発現制御 / 生体生命情報学 / バイオテクノロジー / プロテオーム |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らが開発したPURE mRNAディスプレイ法(J. Biochem. 印刷中)による翻訳アレスト配列の試験管内選択をおこなった。 まず、既知のビオチン様ペプチド遺伝子の下流にランダム配列ライブラリーまたは大腸菌ゲノムライブラリーを融合したDNAライブラリーを構築し、試験管内で転写したmRNAライブラリーにピューロマイシンを連結し、大腸菌由来PUREシステムを用いて翻訳反応をおこない、ストレプトアビジンを固定したビーズを用いて8ラウンドまたは4ラウンドの試験管内選択をおこなった。ビオチン様ペプチド配列の下流で翻訳が停止する度合いが高い配列ほど、mRNAに付加したピューロマイシンがタンパク質に連結する機会が増えるため、試験管内選択で回収されやすくなることが期待できる。 クローニングおよびサンガー法による配列解析をおこなったところ重複配列はみられなかったが、その多くはmRNA-タンパク質連結分子を形成することが確認できた。そこで、これらの候補クローンについて、ペプチジルtRNAの検出をおこない、翻訳アレストが起こっていることを確認し、さらに、Toe-printingアッセイにより翻訳停止部位を特定することができた。また、得られた配列の変異解析により、塩基配列の変異ではなくアミノ酸配列の変異によってアレスト活性が失われたことから、RNA の2次構造ではなく翻訳アレストペプチドとリボソームとの相互作用により翻訳停止していることが示唆された。この配列は従来から知られている翻訳アレストペプチドの配列とは類似性がみられなかったことから、mRNAディスプレイ法により新規の翻訳アレストペプチドを探索できたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の計画目標を概ね達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に人工ランダム配列ライブラリーから得られた候補配列については、おそらく結果的にランダム配列の長さが短かったためにランダム配列の下流の共通配列の影響がみられたことから、本年度は、新たにランダム配列を長くし、下流の共通配列の前に終始コドンを挿入した人工ランダム配列ライブラリーを作製し、再度、試験管内選択実験を行い、より普遍的なモチーフ配列の探索を行う。取得した翻訳アレスト配列候補の機能を検証し、さらに、得られたクローンのコンセンサス配列から機能に重要な残基を推定し、その変異配列を作成して翻訳アレスト活性が失われるかどうか検証実験を行う。 一方、前年度に大腸菌ゲノムライブラリーから得られたアレスト候補配列については、多様な陽性配列を含むことが示唆されるDNAサンプルを得ることができたので、本年度は、次世代DNAシークエンサーを用いた大規模な配列解析を行い、大腸菌ゲノム配列にマッピングを行う。そのデータを既存のリボソームプロファイリングのデータと比較することで、試験管内と大腸菌内で翻訳アレストの程度が大きく異なる遺伝子を同定し、その遺伝子の下流にレポーター遺伝子を挿入したDNAを用いて、様々な条件で翻訳アレスト活性を解析し、その制御機構を推定する。
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Research Products
(2 results)