2015 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化による動的微細構造表面を用いた海洋付着生物の接着制御
Publicly Offered Research
Project Area | Innovative Materials Engineering Based on Biological Diversity |
Project/Area Number |
15H01592
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
室崎 喬之 旭川医科大学, 医学部, 助教 (40551693)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 防汚 / 付着生物 / 表面微細構造 / 自己組織化 / 生物模倣技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
フジツボに代表される付着生物は船舶や取水路などの海中構造物に対し深刻な汚損被害をもたらしている。既存の防汚技術の多くは毒性による殺生作用によるものか バブルや音波を発生させるといったエネルギー消費型のものである。本研究では低毒性・低エネルギー消費型の新規防汚技術の開発を目指す。 これまでに申請者はフジツボをモデル付着生物に用いソフトマター等を用いた防汚材料の研究を行ってきた。また最近は自己組織化的プロセスにより作製される表面微細構造が付着生物に示す抗付着メカニズムを見出してきている。本研究では生物表面に見られる動的な凹凸構造に着目し、動的マイクロリンクル構造上での付着生物の付着挙動を詳細に調べ、環境負荷の少ない新規防技術の創出を試みる。 本年度はフジツボの付着期幼生を用いたマイクロリンクル構造上での付着実験系の構築を行った。また水中での付着実験を行う際にマイクロリンクルが発生する界面において硬いレイヤーと柔らかなレイヤーの間に水が入り剥離が起こる問題が生じる為、接着性を高めるなど水中実験に耐えうるマイクロリンクルサンプルの開発を行った。さらに実際の生物微細凹凸構造の防汚効果を確かめる為、サメ肌レプリカサンプルを作製し、その表面での付着実験を行った。その結果、硬いレプリカ表面では防汚効果はみられず、微細構造の種類以外に付着生物のサイズや基板の弾性率についても考慮する必要があることが示唆された。また材料設計の指針を得る為にフジツボ付着期幼生の微細構造について電子顕微鏡による観察と検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マイクロリンクル作製実験の結果、当初の予想に反しマイクロリンクルを構成するフィルムとその支持体との接着性が安定しない事が明らかとなった。研究遂行上、接着性を安定させる条件を見つける事がマイクロリンクルを安定して発生させる為に不可欠であることから、マイクロリンクル作製の追加実施が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
フジツボ付着期幼生を用いた水中におけるマイクロリンクル上での付着実験を行う。その為、付着後のリンクル表面におけるフジツボの培養系を確立し微細構造表面での成長・剥離実験を行う。生き物の動的な性質に着目した場合、柔らかな表面では付着行動時に変形が生じる可能性が考えられる。その為、低弾性的素材を用いた基板上にて付着実験を行う。また付着生物のサイズと微細構造のサイズの関係について検討を行う為、フジツボ付着期幼生よりも一桁サイズが小さい付着珪藻を用いた付着実験を行う予定である。
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Research Products
(7 results)