2017 Fiscal Year Annual Research Report
Physics of friction of mica and clay minerals at the real area of contact
Publicly Offered Research
Project Area | Crustal dynamics-Unified understanding of intraisland deformation after the great Tohoku-oki earthquake- |
Project/Area Number |
17H05320
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
佐久間 博 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主任研究員 (20400426)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 粘土鉱物 / 配向度 / ポテンシャルエネルギー面 / シート構造 / 膨潤 / 湿度 / 摩擦試験 / 第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近の断層掘削により、多くの断層で雲母・粘土鉱物の存在が明らかとなった。これまで雲母・粘土鉱物の摩擦物性は主としてガウジを模擬した摩擦実験で測定されてきたが、その背景にある物理に関しては理解が進んでいない。本研究では雲母・粘土鉱物の摩擦を支配する要因を明らかにするために、雲母・粘土鉱物の(001)面の性質に着目する。 本年度は、(1)白雲母の劈開面における様々なせん断方向における摩擦特性の変化、パイロフィライト表面間の摩擦特性の変化を計算し、鉱物種による真実接触面での摩擦特性の違いを議論すること、(2)粘土鉱物は湿度により膨潤する性質があるため、湿度制御装置を開発し湿度制御下で摩擦試験を実施すること、を目的とした。 (1)白雲母間の摩擦力は、せん断方向に依存し、せん断方向に対して30度刻みで振動することが分かった。この結果は過去に実施された精密摩擦試験と調和的な結果であり、第一原理計算による摩擦がマクロな摩擦試験を説明する可能性があることを明らかにした。パイロフィライトの摩擦力は白雲母より小さく、またせん断時に現れる準安定構造が高分解能電子顕微鏡像と調和的であることを初めて明らかにし、第一原理計算の結果の妥当性が確認された。 (2)湿度制御型摩擦試験機が完成し、相対湿度を0から85%の間で制御しながら摩擦試験を実施することが可能となり、モンモリロナイトの粉末の摩擦試験の予備的な結果が得られ始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一原理計算による白雲母・パイロフィライト間の摩擦力の導出は、計画通りに進み、原子スケールの摩擦に関して、真実接触面における方向依存性や法線応力依存性の背景となる物理が明らかとなってきた。 摩擦試験については、湿度制御型摩擦試験装置が予定通りに完成し、来年度に向けた本格的な摩擦試験の準備が整った。 以上の理由から、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)第一原理計算による真実接触面における摩擦力の導出 当初の目的に沿って、平成30年度はカオリナイト・ギブサイトの摩擦力の導出を実施する。さらに、今後の課題としては、いかにこれらの原子スケールの摩擦をマクロにアップスケールするかである。そこで平成30年度は真実接触面の面積を見積もるために、各鉱物のナノインデンテーションテストを実施する。得られるインデンテーション硬さを使うことで、ミリメートルスケール以上の摩擦の物理の構築を目指す。 (2)膨潤性粘土鉱物であるモンモリロナイトについて、湿度制御下の摩擦試験を実施する。特に本研究では低法線応力(1 MPa以下)での摩擦試験を実施し、これまでの高法線応力による実験結果(Tetsuka et al., 2018)との比較を実施する。低法線応力での結果を詳細に解析することで、層間水の影響や凝着力の起源に関する議論を実施する。
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Research Products
(11 results)