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2017 Fiscal Year Annual Research Report

シアノバクテリアの光化学系Iへの光エネルギー分配の分子機構と生理的役割の解明

Publicly Offered Research

Project AreaNew Photosynthesis : Reoptimization of the solar energy conversion system
Project/Area Number 17H05716
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

榎本 麻衣 (渡辺麻衣)  東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (90638785)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2019-03-31
Keywords光合成 / 光化学系 / 環境応答
Outline of Annual Research Achievements

光化学系I複合体は、直鎖状と環状の二つの電子伝達系の両方に関わる。光化学系Iへの光エネルギー分配調節による活性制御は、光合成の調節に必要不可欠である。本研究は、シアノバクテリアにおける光化学系Iへの光エネルギー分配の分子機構と生理的役割の解明を目指す。シアノバクテリアのアンテナタンパク質フィコビリソームは、主に光化学系IIへのエネルギー伝達を行う。一方、光化学系I特異的アンテナは知られていなかった。私は、光化学系Iと特異的アンテナとの超複合体の単離に成功し、光化学系I特異的アンテナの存在を生化学的に明らかにした。また、ドッキング因子CpcLを同定した。CpcLは、ロッド状のフィコビリソームを形成しロッドを直接光化学系Iに繋ぐ。本研究はCpcLを手がかりとし、シアノバクテリアの光エネルギー捕集、分配メカニズムを解明する。
これまでに、光化学系I複合体による電子伝達活性が重要な役割を担う窒素源枯渇条件で生育したAnabaenaで、CpcLが増加し窒素固定に特化したヘテロシストに特に多く存在することを見出している。この条件下では、フィコビリソーム-CpcL-光化学系I超複合体よりもさらに大きな画分に光化学系IとCpcLを含む超複合体が存在する。この画分を単離し、領域内の共同研究による網羅的タンパク質組成解析を進めている。また、CpcL-フィコビリソームから光化学系Iへの光エネルギー伝達機構を詳細に明らかにするため、単離した超複合体の分光解析を行った。その結果、CpcLがフィコビリソームに挿入されることにより、色素の蛍光波長が長波長シフトすることが、光化学系Iへのエネルギー伝達に重要であることがわかった。この結果を論文にまとめている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

Anabaena sp. PCC 7120を窒素枯渇条件で生育させた時に見られる、フィコビリソーム-CpcL-光化学系I超複合体よりもさらに大きな画分を用いてタンパク質組成分析を行っているが、超複合体の量が少ないためにS/Nの良いシグナルが得られないことが解析の律速になっている。そのため、単離方法の改良を試みている。
また、当初計画していたAnabaena sp. PCC 7120の光化学系Iへのエピトープタグの導入がまだ完了していない。そのため、研究の進行が遅れている。

Strategy for Future Research Activity

窒素枯渇条件で生育させたAnabaena sp. PCC 7120からフィコビリソーム-CpcL-光化学系I超複合体よりもさらに大きな画分をより良い状態で単離するため、ショ糖密度勾配遠心の条件を改良する。単離時間を短くすることで、目的とする画分の回収率が上がるという予備データがすでに得られている。また、光化学系Iにエピトープタグを導入し、in vivo架橋を組み合わせるという異なるアプローチからも超複合体の単離を試みる。単離した画分の詳細なタンパク質組成解析を行い、窒素枯渇条件で見られる新しい超複合体の存在を解明する。
PSIへのエネルギー伝達に重要なPBSの長波長シフトを可能にするCpcLの分子メカニズムを解明するため、CpcLの部位特異的変異体を作製し、超複合体の単離、分光解析を行う。アラインメントを作製することでCpcLに特異的に保存されているアミノ酸を抽出し、構造情報と照らし合わせることで、長波長シフトの原因となる有力なアミノ酸候補をすでに同定している。
当初の計画では、超複合体の分光解析やCpcLの部位特異的変異体の解析は含まれていなかったが、研究過程で本研究課題に重要な情報が得られたのでさらなる解析を行う。

  • Research Products

    (3 results)

All 2017

All Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] ENHANCED RECOVERY FROM PHOTOSYSTEM I PHOTOINHIBITION BY THE ASSEMBLY FACTOR.2017

    • Author(s)
      Mai Watanabe, Hiroaki Yoshino, Masako Matsumura, Yukiko Okuda, Masahiko Ikeuchi
    • Organizer
      10th European Workshop on the Molecular Biology of Cyanobacteria
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] アセンブリー因子の強化による光化学系I複合体の光阻害からの回復促進2017

    • Author(s)
      渡辺麻衣、松村雅子、吉野宏明、奥田裕紀子、池内昌彦
    • Organizer
      第8回日本光合成学会年会
  • [Presentation] アセンブリー因子Ycf3は光化学系Iの光阻害からの回復を促進する2017

    • Author(s)
      渡辺麻衣、吉野宏明、松村雅子、奥田裕紀子、園池公毅、池内昌彦
    • Organizer
      ラン藻の分子生物学2017

URL: 

Published: 2018-12-17  

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