Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
細胞内エネルギー過剰状態を骨格筋が感知すると、何らかの遺伝子発現が生じ、その遺伝子産物がインスリン感受性低下を引き起こす可能性がある。我々は候補遺伝子としてMusclin(インスリン作用を阻害する骨格筋由来内分泌因子)とG0/G1 protein(PPARαの発現を介してインスリン抵抗性を惹起する可能性を有する)に着目し検討をしている。身体運動やカロリー摂取制限は一時的に細胞内エネルギー不足状態を惹起し、インスリン感受性を亢進させる。本研究においても、24時間絶食後および身体運動4時間後においてインスリン感受性の亢進を確認した。このインスリン感受性の亢進にmusclinおよびG0/G1 protein遺伝子発現の減少が関与する可能性を検討したところ、絶食によりmusclin遺伝子発現は減少するが、身体運動による変化は認められなかった。この結果は、musclinが長期的な細胞内エネルギー状態の変化に呼応している可能性を示唆している。一方、絶食はG0/G1 protein遺伝子発現も減少させたため、G0/G1 proteinも長期的な細胞内エネルギー状態の変化に対応している可能性がある。しかし身体運動の影響に関しては特定の運動(短時間・高強度運動)に対してのみ遺伝子発現を減少させており、短期的な細胞内エネルギー状態の変化に呼応している可能性はさらなる検討が必要である。短期的な細胞内エネルギー状態の変化に関して、AMP-activated protein kinase (AMPK)の活性化がインスリン感受性を調節している可能性が示唆されている。我々も身体運動にてAMPKを活性化させるとインスリン感受性が亢進するとの結果を得た。しかし、AMPKの活性化の程度はインスリン感受性亢進の程度とは関係がなく、AMPK以外の要因(例えばG0/G1 protinなど)をさらに検討する必要がある。
All 2006
All Journal Article (1 results)
デサントスポーツ科学 27
Pages: 23-31