Project/Area Number |
09J02529
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Experimental pathology
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
椨 康一 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2009 – 2011
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
|
Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2011: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2010: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | グリオーマ / 癌幹細胞 / side population / 微小環境 / ニッチ / 血管内皮 / 細胞外マトリックス / 鉄 / 脳腫瘍 / 細胞間相互作用 / 腫瘍血管 / グリオーマ幹細胞 / CD133 / プロモーター / ETS / Ras / ERK / アストロサイト |
Research Abstract |
腫瘍幹細胞は腫瘍の進展・再発を担う責任細胞であり、腫瘍幹細胞を標的とした根治療法の開発が期待される。本年度は、ラットC6グリオーマ細胞株に存在する腫瘍幹細胞画分side population(SP)と非腫瘍幹細胞画分main population(MP)を用いて、腫瘍幹細胞の微小環境(ニッチ)の全容解明を目指した解析を行った。(1)GFP発現SPをマウスに移植後、形成されたグリオーマ組織において、腫瘍血管がSP由来の血管内皮と宿主由来の血管内皮から構成されていることが明らかとなった。(2)血管内皮のヘキスト染色の結果、宿主由来の内皮が非蓄積性の性質を有しているのに対し、SP由来の内皮は蓄積性の性質を有していることが明らかとなった。(3)蛍光特性を有する抗がん剤Mitoxantroneを用いた薬剤取り込み実験の結果、SP由来血管内皮が既存の抗がん剤に対しても高い蓄積性を有することが明らかとなった。(4)また、SP由来血管内皮はtemozolomideに耐性を示したことから、血管からの薬剤浸透を防ぐドラッグバリアーとしての役割を担っていることが示唆された。(5)SP由来血管内皮近傍にはcollagenIVが発現しており、in vitro培養系においてentactin-collagenIV-laminin(ECL)マトリックス上でSP割合の維持が認められたが、総細胞数は減少した。(6)ECLコーティングに加えて培地中にtransferrinを添加したところ、SP割合および総細胞数が共に維持され、transferrinを介する鉄の取り込みが細胞外マトリックスと協調してSPの維持に寄与していることが示唆された。以上の結果は、分化を経て微小環境を自作するという腫瘍幹細胞の利己的な生存戦略を意味しており、腫瘍幹細胞ニッチの性状解明に向けて新たな概念を提唱できたものと考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に掲げた腫瘍幹細胞の微小環境の解明に関して、自己産生型ニッチという新たな概念を提唱できた点で腫瘍幹細胞の病態解明へ大いに貢献できたと考えられ、得られた知見に基づいた腫瘍抑制効果の検討段階に入ることができた。今後さらなる研究の進展が見込まれる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題により得られた知見に基づき、治療標的を特定する作業へと発展させる必要がある。候補のひとつとしてインテグリンおよびトランスフェリン受容体に対する中和抗体が、微小環境ニッチからのシグナルを遮断できることが期待されるため、腫瘍幹細胞の自己複製および増殖に対する抑制効果の検証を行う。また、腫瘍幹細胞の血管内皮分化の抑制も標的となり得るが、血管内皮細胞への分化能を有した腫瘍幹細胞は、濃縮画分として利用しているside population(SP)細胞の一部であることが懸念される。今後、単一細胞レベルでの解析を行い、SP内の不均一性の解明とともに内皮前駆細胞になる能力を有した細胞の特定を行う必要があると考える。
|
Report
(3 results)
Research Products
(15 results)