Project/Area Number |
09J40042
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Osaka University (2010-2011) Keio University (2009) |
Principal Investigator |
木下 朋子 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2011: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2010: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 量子化学 / 分子軌道法 / 電子相関理論 / 基底状態 / 励起状態 / 密度行列 / 共役分子 |
Research Abstract |
量子化学計算は、既知の分子の性質や未知の分子の探索のための強力なツールとなって久しい。しかしながら、機能性分子候補の多くは、複雑な電子状態を持ち、それこそが機能発現のドライビングフォースとなっている。また、このため、現代の量子化学計算のメソッドには精密性が必須である。また、対象となる実在系の分子は数十、数百原子を含む分子を扱うことになるため、同時に計算コストを軽量化することも要求される。そこで本研究ではこの「精密性」「軽量化」を兼ねそろえ、さらには電子の共役性や局所性といった分子固有の特性に依存しない、つまり「汎用性」の高い手法の開発を行ってきた。 これまでの研究で開発されたTailored Coupled Cluster(TCC)法は、多配置理論と比較して、はるかに計算コストの低い単参照理論でありながら、定性的にも定量的にも、多配置理論と同様の高い計算精度を与える。これまでに1、2電子励起演算子を含むCCSD法に適用され(TCCSD法)、その有用性が実証されている。このTCCSD法をより軽量化するためにCCSD法の近似法であるCC2法にTailoring法(TCC2法)を応用した。エチレン、シクロブタジエンにおいてテスト計算を行い、その結果、計算コストをこれまでのN^6(TCCSD)からN^5(TCC2)と軽減化を実現した(N : 基底関数の数)うえ、従来のCC2法では表現できなかった共役結合の分断という化学的描像を表現することを可能にしたことを示した。 また、物質解析のための物理量を得るためには基底状態だけでなく、励起状態の計算が必要となる。これまでは基底状態のみに応用されていたTCCSD法を励起状態へと応用できるよう拡張を試みた。CC法における一般的な励起状態計算手法であるequation of motion(EOM)CC法をTCC法へと適用した。理論上、計算コストは単参照配置に基づく手法と同等である。HF分子の解離についてのポテンシャル曲線を計算し、基底状態からの1電子励起状態については正確に記述することができることがわかった。以上により、新規機能性分子解析のツールとして「精密性・軽量化・汎用性」を兼ねそろえた新規な電子相関理論を提唱することができた。
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Report
(3 results)
Research Products
(2 results)