Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究の3年目に当たる本年度は、以下2つの論文を発表した。第一に、国際バカロレア(International Baccalaureate:IB)を履修・修了していることは、日本の大学教育の文脈においていかなる意味をもつかを、日本の大学に在学しているIB修了生を対象としたインタビュー調査の実施・分析により、明らかにした(江幡 2020a)。具体的に、以下のことを論じた。日本の大学教育に焦点を当てると、IBを履修・修了していることは必ずしも円滑な接続を保証しない。なぜなら、IBの学習を通じて獲得した力が大学教育で活かされるか否かは、大学でとられる授業方法や評価方法、ならびに学部学科(専門分野)の性質に規定され、かつIBを履修・修了したゆえの接続上の困難があり得るからである。第二に、なぜ米国では、IBが普及したのかという点について、米国において蓄積されてきたIBの教育効果研究の系譜を追うことによって、考察した(江幡 2020b)。具体的に、以下のことを論証した。米国では、ハイスクールのカリキュラム改善、ならびに、結果としての生徒の大学進学準備の向上がIBに対して期待されてきた。すなわち、大学準備プログラムとしてIBはとらえられ、ゆえに、大学進学率や大学卒業率、リテンション率等を指標としてIBの教育効果が検証され、多くの研究でその効果が実証されてきた。その後、なぜIBを経験した生徒の大学進学率や大学卒業率、リテンション率等は高いのか、言い換えれば大学準備プログラムとしてのIBの有効性の根拠が問われ、知識に加えて、大学における学修に必要とされるスキルや態度の修得に、その根拠が求められてきた。そのような研究成果は、米国におけるIBの普及をこれまで後押ししてきたと言え、結果として、今日米国のIB認定校数は、世界中のIB認定校のうち約35%を占めるまでに至った。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2020 2019 2018
All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 3 results, Open Access: 1 results) Presentation (8 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results)
教育制度学研究
Volume: 27 Pages: 94-113
40022442482
国際バカロレア教育研究
Volume: 4 Pages: 15-21
130008103482
比較教育学研究
Volume: 60 Pages: 2-24
40022164639
筑波大学教育学系論集
Volume: 44(1) Pages: 105-116