Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
課題名に示されているように、本研究はラカンの精神分析思想の理論研究とその応用をその内容とするものであるが、とりわけ後者の応用部分、つまり精神分析的観点からみたピエール・クロソウスキーの病跡学的読解において、本年度、研究の進展がみられた。外にあらわれた成果として具体的には、採用期間に準備していた、表象文化論学会第15回研究発表集会でのクロソウスキーについての発表(2021年12月)、採用期間に執筆した『フランス哲学・思想研究』向けのクロソウスキー論(2021年提出、採用決定済)、採用期間に執筆した著作『ドゥルーズと革命の思想』(2022年1月刊行、私による二本の論文が収録されている)があり、わかりやすく豊作であった。これらの意義・重要性については、とりわけ著作を読んでもらうのがいちばんいいのはもちろんであるが、簡単にそれを述べるとすると、第一に、ニーチェを病だと考える精神科医・精神分析家などから、ニーチェを奪還すること、ここにクロソウスキーのひとつのモチーフがあり、その点について、ラカンの精神分析についての研究で得られた知識を土台としながら、正確に読解することに成功したこと、第二に、そのモチーフの展開が、ニーチェの永劫回帰を人間の側からみられたそれと世界の側からみられたそれとに分割するレーヴィットとの大きな影響下で行われたことの発見と、その具体的内実の検討を行ったこと、第三に、クロソウスキー作品を、そのなかに人を導き入れるパフォーマティヴな水準で読解し、伝達不可能性をある仕方で超えるような悪循環の設定というモチーフを引き出したこと(そしてこの点は、クロソウスキー自身のある種の病的性質に関係するだろうということ)、この三点にあるといえる。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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フランス哲学・思想研究
Volume: 27
日本病跡学雑誌
Volume: 95 Pages: 43-57