Project/Area Number |
19H01201
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01040:History of thought-related
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 靖子 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (70262483)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大平 徹 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (20543474)
松井 裕美 (平田 裕美 / 松井裕美) 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40774500)
戸田山 和久 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (90217513)
大平 英樹 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (90221837)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥16,510,000 (Direct Cost: ¥12,700,000、Indirect Cost: ¥3,810,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2020: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2019: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
|
Keywords | 予測 / 推論装置 / 予測的処理 / 創発 / 予測的符号化 / 情動 / 心理学的構成主義 / モデル化 / 内的モデル |
Outline of Research at the Start |
近年の認知神経科学では、脳内の内的モデルが刺激の到来に先んじて、予測という仕方で知覚や感情を能動的に構成するという仮説が提唱されている。本研究は、予測とは何か、予測を生み出す推論の原理とは何かという問いを軸とし、また予測を裏切る要因として「偶有性」「揺らぎ」「遅れ(潜伏)」に注目することで、認知神経科学のモデルが広く人間存在の理解のために有しうる説明力を検討する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
近年の認知神経科学では、脳内の内的モデルが刺激の到来に先んじて、予測という仕方で知覚や感情 を能動的に構成するという仮説が提唱されている。そのモデルは計算論的アルゴリズムにより表現されるが、実際に脳はそうした処理を行っているのかは依然として議論されている。本研究は、予測とは何か、予測を生み出す推論の原理とは何かという問いを軸とし、また予測を裏切る要因として「偶有性」「揺らぎ」「遅れ(潜伏)」に注目することで、認知神経科学のモデルが広く人間存在の理解のために有しうる説明力を検討することを目的とする。そのために、形態学、機械論、確率論、身体論という点で文学・数学・科学哲学史・美術解剖学・認知神経科学の立場から、予測を生み出す推論装置の概念史と今後の展開を中心課題とする。本年度はコロナ渦のため、各自が予定していた海外出張が取りやめになり、資料収集などの点で多くの不都合が生じたが、4月、7月、12月、3月と4回開催することができた。これらの研究会では、各自の研究の進捗状況を報告しあいつつ、予測が引き起こす現象や、古来から預言が哲学的にどう理解されてきたかを問いつつ、各々の立場から議論を重ねた。具体的には、認知神経科学より提起されている予測的符号化の仮説の精緻化しつつ、感染症モデルの汎用性について、科学史における観察データの解読とそれに基づく推論について、美学美術史における感染モデルや疫学モデルなど、モデル化の動きについて、また、人類史のレベルにおける文化的記憶の伝承と潜伏という現象について、さまざまな文献を渉猟した。このようにして、「予測を生みだす推論装置」という共通のテーマについて問題提起を重ね、議論を展開し、分野を超えて相互理解を深めることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度には、コロナ渦で著しく活動を制限されてはいたが、オンラインを併用しつつ研究集会を4月、7月、12月、3月の4回開催することができた。研究集会では、メンバーがそれぞれの研究の進捗状況を報告し、それぞれのフィールドからの問題提起、考察などを示し、予測と、予測を生みだす推論装置という研究テーマの核について、活発に議論することができた。とりわけ、感染症モデル、疫学モデルが、医学史や精神医学史のみならず、美学美術史においても大きな影響を与えたこと、今なおそのモデル化については、大いに示唆的であることが紹介され、このモデル化と、本プロジェクトが参照する予測的符号化仮説とは、整合性が高いことが示されたことは、大いに有益であった。これらの知見を総合的に論集にまとめる方向で、本の企画などについても、話し合いを進めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
コロナ渦のため、依然として海外出張が制限された状態ではあるが、オンラインを活用した研究集会のやり方やミーティングのやり方なども徐々にスキルが積み重ねられてきた。これを受けて、2021年度も引き続き、研究集会を定期的に開催し、共同で論集にまとめるべく、議論を重ね、共通の土台を整備することに努める。
|