研究課題/領域番号 |
01570699
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐久間 まこと 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (70170636)
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研究分担者 |
田辺 達三 北海道大学, 医学部, 教授 (50000956)
安田 慶秀 北海道大学, 医学部附属病院, 助教授 (60125359)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1990年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1989年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 吻合部内膜肥厚 / 人工血管 / 血行再建 / グラフト閉塞 / 血小板シンチグラフィ- / anastomotic neointimal hyperplasia |
研究概要 |
バイパス手術などの血行再建の遠隔成積を不良とする晩期閉塞の原因の一つとしてある血管吻合部における内膜肥厚の発生機序を探るとともに、これを防止するために要求される人工血管と宿主動脈との間の物性的適合性、縫合方法、材料、血液とくに血小板凝集と薬剤による肥厚防止効果について雑種成犬への人工血管移植実験と臨床例における晩期閉塞例の分析を行った。下記の結果を得た。 1.物性の異なる小口径人工血管を犬頸動脈へのべ30本移植して長期間に渡って吻合部を観察し、遠隔開存率と比較した。柔軟性に乏しい人工血管では移植中期に吻合部内膜肥厚により閉塞したが、柔軟な人工血管では一年以上、肥厚を来さず良好な開存を示す例も認められ、物性の違いが肥厚発生の一因と考えられた。 2.物性が近似で表面構造の異なる人工血管の移植実験では多孔構造のものが良好な開存成積を示し、同時に行った血小板シンチによる人工血管表面に附着する血小板の検索でも、開存率、内膜肥厚の程度と血小板沈着特性の間に関連性が見い出された。吻合部内膜肥厚の要因として血小板沈着の程度が推測された。 3.縫合材料、縫合方法の検討では縫合糸による従来の吻合法よりレ-ザ-吻合がより吻合部における治癒は良好であり、肥厚も認められなかった。吻合部における内膜傷を減じ、円滑な血管治癒を得られる吻合法は内膜肥厚を防止する一手段として有効であることが示唆された。 4.臨床例の分析では使用人工血管,血流状態の違いによって内膜肥厚発生の頻度は異なり、抗血小板製剤の投与によって肥厚の発生、進展はある程度抑制される傾向は認められるものの、完全に防止するには至らなかった。吻合部内膜肥厚の発生機序については以上の研究よりかなり明らかとなったが、今後、防止策につき更に検討を要する。
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