研究分担者 |
糸柳 則昭 長崎大学, 医学部, 医員
赤嶺 晋治 長崎大学, 医学部, 医員
綾部 公懿 長崎大学, 医学部, 助教授 (60128147)
富田 正雄 長崎大学, 医学部, 教授 (70039808)
本庄 誠司 長崎大学, 医学部, 医員
高橋 孝郎 長崎大学, 医学部, 医員
久野 博 長崎大学, 医学部, 医員
碇 秀樹 長崎大学, 医学部, 医員
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研究概要 |
肺および心肺移植後の肺の機能不全は,肺の温阻血あるいは保存に伴う阻血再潅流障害による肺水腫が原因とそれ,好中球由来の活性酸素が重要な関わりをもつと云われている。そこで肺水腫の防止対策について検討した. 1.抗酸化剤である還元型グルタチオン(Glutathione),アスコルビン酸(Vitamin C),ス-パ-イキサイドジスムタ-ゼ(SOD),αートコフェロ-ル(Vitamin D),CoQ_<10>は,イヌ左肺の3時間温阻血再潅流モデルにおいて,肺動脈血中の好中球活性酸素産生能を低下させ,阻血肺の酸素化能,肺胞換気能を良好に保持したことから,肺水腫の軽減に有効であることが示唆された。 2.イヌ左肺を,保存液によるflushing techniqueを用いて24時間4℃単純浸漬冷却保存したのち、摘出肺潅流装置を用いて全血,もしくは白血球除去血で2時間潅流し肺水分量を比較した.EC液保存の場合,白血球除去血潅流肺の肺水分量は,全血で潅流した肺に比べ有意に少なく,一方,好酸化剤(Glutathione,Alloprinol)を含むUW液ではその差がみられなかった.従って,肺の阻血再潅流障害における肺水腫の発生に,好中球由来の活性酸素が重要な役割をはたし,また白血球除去血潅流がその防止に有用であることが示唆された 3.イヌ同種左肺移植モデルでは,EC液にGlutathione,Alloprinol,およびSODを加えることによって8時間,UW液を用いることによって24時間の4℃浸漬冷却保存が可能であることが判った.しかしイヌ心肺同時移植モデルでは,UW液による4℃単純浸漬冷却保存の安全限界は4時間であった. 4.UW液のK^+濃度を120,30,および4mEq/Lとし,それぞれイヌ左肺をflushし4℃24時間冷却保存した後,摘出肺潅流モデルを用いて肺水分量を比較検討した.肺水分量はK^+濃度30mEq/Lの場合が最小値を示し,肺の保存にはK^+濃度30mEq/Lが最適であることが示唆された.
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