研究分担者 |
JAN Kaja ワルシャワ中央計画統計大学, 準教授
WLODZIMIERZ レンビシ ワルシャワ中央計画統計大学, 準教授
ANDRZEJ Kowa ワルシャワ中央計画統計大学, 助教授
EUGENIUSZ Go ワルシャワ中央計画統計大学, 教授
松井 憲明 旭川大学, 経済学部, 助教授 (80111144)
山村 理人 茨城大学, 農学部, 助教授 (60201844)
牛山 敬二 北海道大学, 経済学部, 教授 (60133691)
REMBISZ Wlodzimierz Warsaw School of Economics, Faculty of Production, associate professor
KOWALSKI Andrzej Warsaw School of Economics, Faculty of Production, associate professor
GORZELAK Eugeniusz Warsaw School of Economics, Faculty of Production, professor
KAJA Jan ワルシャワ中央計画統計大学, 財政統計学部, 準教授
REMBISZ Wlod ワルシャワ中央計画統計大学, 生産経済学部, 助教授
KOWALSKI And ワルシャワ中央計画統計大学, 生産経済学部, 助教授
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研究概要 |
1.本研究は平成2年度と3年度の2年間にわたり,日本側研究分担者がポ-ランドの農村を調査し,またポ-ランド側研究分担者が日本の農村を調査し,それぞれ母国における今後の農業のあり方について考察しようというものであった。その際のキィ-ポイントとなるのは,日本もポ-ランドもともに,今後とも市場経済メカニズムの中で個人農主体の原則を維持しつつ,協同化を通じて農業の効率化を図らなければならない,という点であった。 2.ポ-ランド側研究分担者にあっては,政府の強い統制下にありながら市場メカニズムで機能してきた日本農業は,ポ-ランドの農業政策立案の上で大いに参考になるものであった。特にポ-ランド側研究分担者のうちの一名がその後食糧庁副長官に就任したこともあり,日本にあるような農産物先物市場が既にポ-ランド経済に導入されることなった。また減反政策や転作奨励金制度も,ポ-ランド側専門家にとって,大いに参考になった。 3.日本側研究分担者にあっては,日本人経済学者としては初めて旧社会主義国の農村部に合計80日間という長期にわたって住み込むことができ,農村部における最底辺において農業がどのように営まれているかを観察することができたことは,大きな収穫であった。従成,マクロ・レベルからの旧社会主義農業の研究はあったが,しかし,個々の農家で直接に長時間の面接を実施し,農民の意識のレベルまで降りて旧社会主義農業と農村社会の構造を考察した研究は皆無であったからである。今後日本が,旧社会主義農業を授助していく際に,本研究は貴重な判断材料を提供することになろうと自負している。 4.次に,日本側研究分担者によるポ-ランド農村の調査の特徴と成果について簡潔にまとめよう。 (1)コニン県クレチェフ村にあるカミオンカ部落という,ポ-ランド農村としては『中の下』に位置する部落を選定し,そこで全戸面接調査を実施できた。全戸面接を実施することにより,最低辺の農家も含めた農村の全体像を把握することができた。 (2)1戸あたり平均で5時間をかけて直接面接調査を実施した。調査内容は,単に農業収入や経費などの経済的要素にとどまらず,まず何よりも一族の家系図を作成することから始めて,家族経営としての農家を全体としてとらえることに成功した。そして,このような研究手法を採った結果,ポ-ランドのおける農村社会の結合要因が,血縁を中心とする家族であることが判明した。共産党組織などの政治的要因や,貨幣メカニズムなど経済的要因は,副次的要因でしかないことが判明した。すなわち,ポ-ランドの農村社会は前世紀以来の伝統をひきずる古い社会であることが判明した。このことは旧ソ連の今後の展開や,旧社会主義国への日本からの援助を考える際にも,重要なポイントとなるであろう。 (3)ポ-ランド農村で機能していた機械化サ-ビス協同組合や農村商業協同組合,協同組合銀行などの各種機関の調査を実施できた。これも最低で3時間,最長で20時間に及ぶ聞き取り調査であったが,さらに貸借対照表や損益計算書も入手することにより,従来の西側研究者では解明できなかった詳細な点についても明らかにすることができた。 (4)官報や省報などの文献資料を収集した。 5.日本からの派遣人数および派遣日数,ならびにポ-ランドから招へい人数と招へい日数については交付申請書のとおりであり,予算執行についても交付申請書とほぼ同じ内容であった。 6.研究成果の公開について。平成4年初夏には,自家出版の形で調査結果報告書が刊行される予定である。それに,さらに分析と政策提言を加えた報告書を『ポ-ランドの農業と農民ークレチェフ村の研究ー」と題して,平成5年2月に木鐸社から刊行する予定であり,「研究成果公開促進費」に基づく刊行助成(一般学術図書)を申請している。また,農林水産省等の官界や貿易商社等の財界関係者にも広く研究成界を報告するため,同促進費に基づく「研究成果公開発表」の助成も申請する予定である。
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