研究概要 |
アセチレン結合のα位およびβ位のキラル炭素上の水酸基を持つ基質を多様の変換に適応するキラル合成素子として活用する手法の開発を目的として本研究を計画した。 まず,両アセチレン基質の合成に関しては,(i)既存の入手容易なエポキシ前駆体を利用する方法,(ii)香月-シャープレス反応によるキラリティー導入後,独自に開発したアセチレン形成法を適用する方法,および(iii)リパーゼを用いる有機溶媒中でのアシル化分割ならびにバッファー中での脱アシル化分割による方法,という3種の手法を開発し,それぞれ任意の対掌体が効果的に得られる様になった。 一方,合成化学的な活用に関してはキラル炭素上の水酸基を手がかりとしてアセチレン結合の化学的特性に基づき,キラリティーを転位,伝達させることにより,モノテルペン単位から,アミノ酸,アルカロイド,ポリケタイド等にわたる多様の生物活性天然物のエナンチオ制御合成を達成し,所期の成果を挙げることが出来た。
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