研究課題/領域番号 |
03454255
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
東 純一 大阪大学, 医学部, 講師 (30144463)
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研究分担者 |
井原 義二 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
瀧原 圭子 大阪大学, 医学部, 助手 (70252640)
滝原 圭子 大阪大学, 医学部, 助手
原田 尚門 大阪大学, 医学部, 助手
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
1993年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1992年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1991年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | 心筋症 / 心筋症ハムスター / 癌遺伝子 / 家族性肥大型心筋症 / ミオシン重鎖遺伝子 / 遺伝子疾患 / 点突然変異 / 心筋肥大 / 肥大型心筋症 / ミオシン重鎖 / 点変異 / DNA / プレアルブミン / 心筋症ハムスタ- / α受容体 / mRNA / 突然変異 |
研究概要 |
心肥大形成前期の心筋症ハムスター(Bio14.6)を用い、交感神経刺激や運動負荷の影響を、心筋における癌遺伝子(c-fos)の発現を指標として検討した。ノルエピネフリン(NE)による心筋_α受容体刺激により培養心筋細胞およびin vivoにおいて心臓のc-fos発現誘導を認めた。NE投与30分後のc-fos mRNAの発現はBio14.6で増強していた。この結果は、Bio14.6ではα_1受容体を介する核内へのシグナル伝達系が活性化されていることを示唆している。正常ハムスターとBio14.6の心筋α_1受容体mRNA発現量は両者間で明らかな差は認められなかった。Bio14.6ではα_1受容体と共役するG蛋白の増加を認めたという報告があり、この成績は今回の結果と矛盾しない。すなわち、Bio14.6では心筋α_1受容体刺激によるシグナルが、おそらくはG蛋白を介して過剰に伝達され、核内immediate early response geneであるc-fosの発現が促進し、心筋症の病態が悪化すると考えられ、血中NE濃度の上昇は環境因子としての心筋症増悪要因の一つであろう。少量のNE前投与により運動負荷の影響を調べたところ、正常ハムスターではc-fosの発現誘導はみられなかったが、Bio14.6では明らかな発現がみられ、心筋症の病態進展が助長されるものと考えられる。 本邦の家族性肥大型心筋症(HCM)家系においても、白人HCM家系で認められた14番染色体上心筋β-MHC遺伝子変異(606Val→Metのミスセンス変異)が存在することが明らかとなった。この変異はアミノ酸の電荷変化を伴わず、予後がよいと報告されているもので、本症例の家系内にも突然死の症例はなく、明らかな病的所見を示す家族構成員もいなかった。本邦においても同一の変異が発見され、人種を超えた変異の存在のみでなく、臨床像の相似性も確認された。また、今回新たに発見された第3エクソンの第10コドンGGGの欠失はグリシンの欠失で、1個のアミノ酸欠失は白人のHCM家系でも報告はなく、本邦において初めて発見された変異である。β-MHCの遺伝子解析はHCM患者の発症前診断を可能にするが、現時点では心肥大を予防しうる有効な治療法は確立されておらず、疾患の発症予防に繋がる研究が急務である。
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